ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』

ずっと読みたくて時間がなくて、ようやく読めて、一気に読んで感動。 パトリック・シャモワゾーの『テキサコ』に影響を受けて、その挙句にこんなカリブ海文学も出てくるんだ、ありうるんだと思うとうれしい。 ・ 主人公オスカーは合衆国のドミニカ移民で大デ…

いっちゃん難儀なんは朗読

講義でテキスト断片いろいろを学生に朗読してもらっていて、「ほお」と感慨深く思ったのは、どれもこれも関西弁のイントネーションで読まれたこと。 あたりまえだけど。 ・ 中上健次が関西弁なのはいいというか、むしろそっちが正解だが、翻訳された外国文学…

楽しい夏休み

夏休み初日。 まる一日休むのは6月以降初めてな気がする。 ・ 出張しての逆読み文学史の集中講義をようやく乗り切り、抜け殻のよう。 12コマぶっ通しはさすがにきつかったが、終わる頃にはランナーズハイ状態になり、この耐久レース、どこまで続けられるかチ…

句会at関口芭蕉庵

もう4,5日前の話ですが、句会に初参加。 こんなに楽しい遊びだったとは。 時間がなくて、前日一時間ぐらいでお題10個を集中的にいっぺんにこなして、 その興奮も楽しかったけれど、当日人の作ったのと自分のを混ぜてあれこれやんやとコメントするのも盛り上…

くる日もくる日も

集中講義のため、目を回しながら猛然と準備。 こういうプログラム作りは好きなんだなーということが最近わかってきたけれど、準備しながら次々広がる、広がる。 オーランドーから台所太平記まで。 ジュール・ヴェルヌから田山花袋まで。 中上健次からマリー…

酢漬けの夏

もうお盆というのに毎日仕事に追われてどうにかなりそうですが、そんなさなか、自家製ピクルスの黄金比が決定しました。 ・ 米酢と水各1カップ(200cc) 砂糖大さじ山盛り1杯 塩大さじこんもり1杯 これを小鍋に煮立てて冷ます。 ・ そこに好きなものを何…

カリコム、放射性核廃棄物の日本への移送に抗議

しばらく新聞を読めずにためていたら、一週間ほど前の記事に日本のメディアとしては珍しくカリコム(カリブ海共同体)の話題を発見。 詳細を知るため、久しぶりにウェブサイトをチェックする。 http://www.caricom.org/jsp/pressreleases/press_releases_201…

みどりのカーテン

7月10日 7月26日 はー、飛ばし続けて乗り切れるかなぁ、夏。 (気候的には全然OKだけど。 例年ならば、成年男子の好みに合わせてガンガン効いてる冷房が、今年はどこも緩くて体調崩さず、助かります)

中上健次

7月が終わってしまう、この期におよんで週休ゼロがまだ続くなか、一番やるべき仕事に着手できないまま…… やっと前期の終りが見えたと思ったら、もう新規の文学講義をスタンバらないと間に合わなくなる時期。 シラバスに山ほど小説の名を載せたのを思い出し、…

グリッサンの「関係」そして「全-世界」とは

なでしこジャパン対アメリカとか、なでしこジャパン対ドイツとかいうことではない。 澤がここで蹴ったボールに、モーガンやワンバックのすごいスピードの攻撃、鮫島・岩清水・宮間らとの有機的連係、対ドイツ戦、ワシントン・フリーダムでのワンバックと澤、…

太平洋の島々に生きる人々

人類学者・後藤明氏による講演「ポリネシア人の智慧、way-finding」とポリネシア各地(島々)のダンスという、すみずみまで充実した企画。 いろいろな感想をもった。 ・ 太平洋を船で往来する人々の、自分たちは固定しており、周りの島々が移動しているのだ…

「なでしこ」の新定義

やまとなでしこ[大和撫子] 山猿のように駆けまわり、爆発的に力を増幅させてゆく日本女性のたとえ というふうに、国語辞典はそろそろ新しい語義をつけ加えたほうがよい。 ・ 「最後まであきらめない」という表現が一様にされ讃えられていたけれど、あきらめ…

ローラン・プティ死去

振付家ローラン・プティが87歳で亡くなったことを知る。 『プルースト――心情の間歇』日本初演の時、インタビューさせてもらった。 どこだったか北ヨーロッパ旅行中、2週間雪に降りこめられ、その間ホテルで『失われた時を求めて』を一気に読んだことがきっか…

なでしこジャパン、ベスト4!

夜明けから密度の高いいいものを見て感動。 優勝候補、巨人、しかもホスト国のドイツを相手によくやった。 延長戦後半、ぎりぎりの体力でボールもほぼ相手にとられていた中での丸山桂里奈のゴール! 澤のパスを受け、右サイドぎりぎりからゴールポスト左奥へ…

女子サッカーワールドカップ

久しぶりになでしこジャパンを熱心に観る。 32歳、澤の軽やかなハットトリックでベスト8進出。 もっとも尊敬する日本人女性のひとりである。 女子サッカー界のオメーロス・澤穂希、チームを勇猛に率いて進んでくれ。 次は5日のイングランド戦だ。

マイレのにおい

最近の踊りの修行で、脚がガクガク。 腰を落とした踊りがやはり断然ぐっとくると長らく憧れていたにもかかわらず、いざやってみるとこれがスクワットしながら踊っているも同然であまりにきつい。 見ている分にはこのうえなく優雅だが、見るとやるとで大違い…

ゲシタコ

小誕生日。 夏至はタコを食べて祝うことにしているので、授業の後に学生たちとタコ焼きを食べる。 家でも「今晩はタコ料理」と宣言してしまったので、さらにタコを買って帰る。 明石の高級タコをのぞけば、最近出まわってるのはだいたいモロッコ産かモーリタ…

ろうそくの炎がささやく言葉(表参道・タウンデザインカフェ)

昨夜は、朗読会「ろうそくの炎がささやく言葉」へ。 東日本大震災後の緊急企画ということで、この8月、同タイトルのアンソロジーが勁草書房から刊行されるに先がけてのイヴェントである。 ・ 小さいカフェにろうそくの炎だけがゆらめく薄暗い空間で、次々声…

梅酒ロックの日

昨日の夜、今年の梅酒を漬けた。 去年のものはこっくりといい味に仕上がったが食事時には甘すぎるので、今年のを減糖して食事用に。 和歌山産の青梅1キロ、ブランデー1,35リットルに氷砂糖300グラム。 毎年ブログに書いておくと、分量など備忘録になって…

『パイレーツ・オブ・カリビアン』とティム・パワーズ『幻影の航海』

カリブ海研究者の風上にもおけないと言われそうだが、『パイレーツ・オブ・カリビアン――生命の泉――』を劇場で観る。 映画としての評価はさておき、ジョニー・デップの動きや声を大画面で観賞できて満足だ。 ・ 今回の作は、ヴードゥーの世界とヨーロッパの聖…

昨日の失態

明け方まで筋肉痛で眠れず、うとうとっとして目が覚めたら、1限の授業開始50分前だった。 いつもは2時間みて、通っている大学である。 起きて5分で家を出たら、泣きっ面にハチでJRが遅れていた。 しかも、私鉄に乗り換えずに、車で行くには最寄りと思われるJ…

『すばる』6月号

遅ればせながら、6月号の『すばる』を読む。 パトリック・シャモワゾーによるエドゥアール・グリッサン追悼文翻訳・ていねいな解題つきと、新連載・今福龍太「ジェロニモたちの方舟」がたがいに呼応しているようで、カリブ海に興味のある人は必読。 ジャズ・…

新連載小説

今、ひそかにホットな雑誌『北と南』第2号が出ました。 大特集「東京」の一端として、norahの小説「レッドダート・ブルーズ」が掲載されています。 初めての連載小説です(一回でおさめるには長くなりすぎただけという噂も…)。 ある人に「赤羽の神話学だね…

瓢箪からウリウリ

先日、頼んであったウリウリが届く。 楽器を買うなんてどれだけ久しぶりなんだろう(しかもこんな…)とずっとわくわく待っていて、ハワイから送られてきたその日に受け取った。 ・ ウリウリとは、瓢箪のなかにじゃらじゃらするものを入れ、持ち手に大量の羽…

逆さ言葉さまざま

授業で『パリ20区、僕たちのクラス』Entre les mursを見せる。 20区の(原作では19区の)中学を舞台に、そこに通うアフリカ系、カリブ系、中国系など出身もさまざまな生徒たち24名を主人公にしたドキュメンタリー仕立てのフィクション映画だ。 一教師として…

ハイチ大統領の音楽

あまり注目されていないが、コンパのミュージシャン、「スウィートミッキー」ことミシェル・マルテリーが先月ハイチ大統領に当選した。 人気歌手というふれこみのわりに、ほんの最近までアマゾンで検索しても共演者として参加しているワイクリフ・ジョンのア…

明日香村

関西地方のなかでは奈良県が好き。 そして明日香村はもっとも気持ちがいいと思う場所のひとつだ。 天気のいい連休の一日、たっぷり歩いてきた。 15キロぐらい歩いたかな? ・ 聖徳太子が生まれたとされる橘寺に、二面石という石がある。 ひとつの四角い石の…

メリー・モナーク・フェスティヴァル2011開催中

毎年、ハワイ島ヒロでおこなわれる世界最大のフラ・フェスティヴァル、「メリー・モナーク」本大会が日本時間の昨日から始まった。 ハワイのテレビ局、KFVEのサイトで連日生中継が見られるのがうれしい。 連日、日本時間の午後1時ぐらいから夕方までです。 h…

「詩人たちの春」(続き):日仏学院

何度か足を運んでいる「詩人たちの春」のシンポジウム。 昨日は仕事の帰り、だいぶ遅れて到着したら、運よく和合亮一の朗読「詩の礫」をはじめから聞くことができた。 ツイッターで(進行方向と反対向きの断片で)読んでいた福島をめぐるこの長編詩、塊とし…

「ポリフォニー:関口涼子/朝吹真理子/渋谷慶一郎(東京日仏学院)

詩人、小説家、作曲家による朗読と音楽のパフォーマンス。 フェルナンド・ペソアの婚約者への手紙を素材にした関口涼子の詩のテキスト、Adagio ma non troppoを、ふたりの作家が声を違えて朗読する。 一方がフランス語で、一方が日本語で、ひとりの声は淀み…