研究

グリッサンの「関係」そして「全-世界」とは

なでしこジャパン対アメリカとか、なでしこジャパン対ドイツとかいうことではない。 澤がここで蹴ったボールに、モーガンやワンバックのすごいスピードの攻撃、鮫島・岩清水・宮間らとの有機的連係、対ドイツ戦、ワシントン・フリーダムでのワンバックと澤、…

ありがとう、ありがとう!

地域文化研究から地域活動実践への3日間を過ごし(脳と体と手先をめいっぱい使って)、このまま怒涛のように新学期になだれ込んでしまいそうなのでその前に区切り。 ・ 緊張感みなぎる3時間近い審査になんとか耐え抜いて、無事博士号をもらえることになりま…

ディフェンス&シャオン

今週金曜、博士論文公開審査会があります。 すでにネット上に出ているようですが、ここにも告知いたします。 ・ http://france.c.u-tokyo.ac.jp/blog/ ・ 博士論文というのは道のりが長すぎ通過ポイントが多すぎて、どこが本当の最終地点なのかいまだによく…

石崎晴己・立花英裕編『21世紀の知識人――フランス、東アジア、そして世界』藤原書店

そういえば年末に上記のような本が出た。 2007年3月におこなわれた国際シンポジウムをもとに、新たに原稿を加えて構成されたもの。 norahも翻訳で参加していますので(本来来日予定で訳すはずだったカリブ海の作家ではないが)、見かけたらお手にとってくだ…

祝福と反省

お局院生友達、またの名シックスティーズ・シスターズの論文が出版社に認められ、立派な賞をとった。 自分のことだけにかまけてはいられないような年齢で研究のスタート地点に立つなど、世間からは理解も応援もされないこと。 その中で何年も公私にわたり互…

エドワード・カマウ・ブラスウェイト

ある本を読んでいたら、前からどこからの引用なのかと疑問に思っていたフレーズ、「統一は海底にある」The unity is submarineを偶然に見つけた! エドゥアール・グリッサンがブラスウェイトの言葉として何度も何度も使い、さらに多くの人に孫引きされ、シン…

9月のお題:シュザンヌ・セゼール

夫婦別姓法案が再び話題になっているが、シュザンヌ、シュザンヌと原稿に書き続けていて、バラエティタレントではあるまいし、何だか腑に落ちないながら、セゼールと書いたらどうしたって誰もがあのセゼールを思い浮かべてしまうし、と困っている。 シュザン…

パリの本屋

パリではrue des Ecolesのふたつの書店、L'HarmattanとPrésence Africaineは必ずのぞくことにしているけれど、そういえばそこからほど遠からぬrue CujasのLe Tiers Mytheという本屋で何度か宝物を見つけたことがあるのを、いつも日本へ帰ると忘れてしまう。 …

シモーヌ・シュヴァルツ=バールですか?

今出ている雑誌『ふらんす』に、恒川邦夫先生がグアドループについての記事を書いていらっしゃる。 地理・気候的なことから奴隷制の歴史、最新のストライキの状況までコンパクトにまとめられた紹介記事なので、ご存じない方は読んでみることをお勧めします。…

ハナクソ日和

ドリル音がダダダというたび、ビクッとして胸が苦しくなるので、カフェ・ノマドと化している。 午前はとるものもとりあえず、家から320歩の珈琲館(最寄り)。 12時から1時はつかの間静寂が戻るとき、その間にあわてて食事や雑用を済ませる。 地震や噴火の被…

話の長い老人

長い森を踏み迷っておる。 ほぼ800枚の長い長い森。 必死で削ってマイナス30枚。 その分フォローしなきゃと思って書き足したら、あれっ?30枚。 …なんのための労力なんだ… 話が長いと家でもよく言われるんだ。 すべては削っていいことばかりなんだ。 (てい…

豚骨爆弾

閑話休題。 ・ 首のコリが尋常でなく、重曹とクエン酸で入浴剤を作った。 発泡性のものが効くのだが、市販の手ごろなのは色も香りも好みでない。 発泡タイプの入浴剤の基本は、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の合体であると知る。 それぞれだけでは発泡しない…

Winter Solstice

研究といっても、冬至の研究。 今年の冬至は12月21日だそうだ。 太陽が黄経270度にあり、北半球では南中高度がもっとも低くなる時期、すなわち昼がもっとも短く夜がもっとも長い時のことを冬至といい、その日時は毎年微妙に変化する。 12月22日のことが多い…

ガリ勉宣言

外に対する仕事が一段落した。 これから最低年内は基本的にガリ勉一筋で行きたい。 やることはガリ勉と掃除。 授業などはまだあるが、あとは極力シンプルに。 知恵熱が出ませんように。 ・ インプレッセでnorahの好物・トカゲのイヤクリップを見つけ、つい買…

7月のナンシーおば

私は一年のなかで7月が一番好きというか、もう偏愛していて、存在しているだけで幸せでたまらない。 でも厳密にいえばそんなふうに無条件に幸せなのは、6月21日の夏至から7月12日までの3週間ぐらいで、それを超えると甘美な気持ちに一抹の苦みが紛れ込んでく…

本が出ました

朝から左耳の奥が疼くと思ったら、雨が降るようだ。 猫みたいに天気がわかるんだよな。 ・ ところで下のような本が出ました。 norahも一章書いています。 「性的支配」をテーマに、医療人類学、法哲学、文学、文化人類学などの研究者が領域横断的に議論し、…

学会めぐり

駿河台へ、三田へと渡り歩いた週末。 今日は「魔女シンポ」を聴きに行く。 家父長制と女性周辺の諸問題について、英文系の人たちがあまりにきれいに図式化する傾向なのは、やっぱりアングロサクソンの父権、家父長制というのが半端じゃなく本格的なものだか…

ローズマリー、シュヴリエ教授講演

早稲田の古書街の中ほど、ローズマリーらしきものが激しく群生しているビルがある。 前から気になっていたけど、ちぎってみたらやっぱりローズマリー。 茎を3本ほど失敬する。 こっそりささっと済まそうと思うも頑丈でちぎりにくく、それにこんな松脂みたい…

アフリカ文学、家事、新玉ねぎ

散歩がてら、フランス語で書かれたアフリカ文学についてのラウンド・テーブルを聞きに行く。 コンゴ生まれで去年ルノドー賞を獲ったアラン・マバンクーを目当てで行ったのに、急遽来日中止になっていた。 時代はネグリチュードではなくミグリチュードとの話…

アンティーユのフランス領年譜

アンティーユで現在も仏語語彙系クレオール語が残る地域はハイチ、グアドループ、マルティニック以外にもある: サン・マルタン、サン・バルテレミー(この二つは行政区分としてはグアドループ)、ドミニカ、セント・ルーシャ、セント・ヴィンセント&グレナ…

シュザンヌ・セゼールとは誰か

Suzanne Césaire(née, Suzanne Roussy 1915-1966) マルティニック生まれ。1930年代にパリ留学。 友人ミレイユ・セゼールの兄エメと出会い、1937年に結婚。 1939年、夫エメとともにパリからマルティニックへ帰還(エメは第一詩集『帰郷ノート』を発表)。乗…

猫、ウォルコット、バラバラ殺人

植物の向こうのベランダに目をやったら、猫が通り過ぎていった。 そういう幻を何度も見たけど、そんなはずはない、ノラーはもう死んだんだから、それにここは同じマンションではないし、前のように簡単に2階に上れるオープンな構造ではないんだから、と思っ…

サイード『人文学と批評の使命』

ゼミ用の『人文学と批評の使命』読了。 サイードがアウエルバッハの『ミメーシス』を、厳密でありながら「衒学的でもなければ専制的でもない」「私的な書物」として評価しているのは意外だし発見だった。 ずっと昔、さらーっと読んだだけだけれど、サイード…

?フランス5出演感想

この前書いた書評の掲載誌が届く(「新潮」)。 マルチニック人の友人に、以前ちょい役で出演したドキュメンタリー番組(『日出ずる国のアンティーユ人たち』のDVDを見せてもらう。 パソコンでの再生で、何でだか音声がほとんど出ないから映像しかわからない…

口承伝統について

口承伝統とは何か? 「A・ハンペイト・バが言うように、「(彼/女は)たぶん長く沈黙したのちに、こう答えて、それ以上何も言わないだろう、『それは総体的な知なのです』と」。彼女はそう答えるかもしれないし、答えないかもしれない。というのも、ここで…

デレク・ウォルコットの戯曲、Pantomimeを読んだ。 知的で洗練のきわみみたいな研究が多く、語感も何だかかわいいけれど、「ミミクリ」(模倣)って本来は、命がけの厳しさを伴っているものなはず。 ミミクリすることでその対象を自分の一部となし、いつの間…

ミシェル・ラクロジルは1915年、バス・テール出身の教師。 Revue Guadeloupeenneにしばしば寄稿。 Sapotille以外にも、同じ1960年代に主人公の肌の色をめぐるコンプレクスを描き、ジャック・コルザニに「深みのあるマヨット・カペシア」みたいなことをいわれ…

公的・私的に、失敗ばかりをくり返した一週間だった。 大きなショックにずきんとする悲しみ、きわめつけに財布を落とすが無事見つかる。 これで打ち止めとしたい。 週末の研究会では、今月急逝された会員・村山敏勝さんに黙祷を捧げた。 他の人もそうだと思…

ガヤトリ・スピヴァク『ある学問の死』(再)、マリーズ・コンデ『ヘレマコノン』(再)

声が出ず、昨日はたった十数人の学生を前にして、事務で借りたマイクを使ってしまった。授業用にマイ・マイクが欲しい。講義はまだいいけれど、語学の授業というのは声も含めて体を使わなくてはならないのできつい(そうしないと学生はついてこない)。ここ…

ジュディス・バトラー『触発する言葉』岩波書店、2004年

言語による発話、特に「憎悪発話」に存する行為遂行性(performativity)と、その背後にある権力の問題をめぐって。 キーワードは、発話と行為遂行性、行為体(agency)と主体・従属(subject)、名称・蔑称(name)と慣習、予めの排除(foreclosure)。 名…