サイード『人文学と批評の使命』

ゼミ用の『人文学と批評の使命』読了。
イードがアウエルバッハの『ミメーシス』を、厳密でありながら「衒学的でもなければ専制的でもない」「私的な書物」として評価しているのは意外だし発見だった。
ずっと昔、さらーっと読んだだけだけれど、サイードが最も重視するダンテ論を中心に見直す。
アウエルバッハによれば、ダンテの(キリスト教的)比喩形象概念は、文学の次元と歴史の次元をつなぐ中間項として機能。ダンテの天才と口語イタリア語の使用こそ、いわゆる(私たちが思う)文学の創造を出発点として可能にし、それゆえ『神曲』は、無時間性と歴史性を統合する。
ちょっとここ数日、別方面で読み直していたベンヤミンプルーストとつなげて考えられなくもない気が。
批判的受容力が精読を可能にするという指摘も重要。

気が滅入って滅入って滅入ってたまらず、もう13,4年目の黒のカシミア・コートを着てるとますます落ち込むので、Gapで白いダウン・コートを買った。
ユニクロと大して値段は違わないけど、シルエットも細部も断然いい。
これにミッソーニとはいわずとも、色がきれいで柔らかくて高級感のある織りのマフラーをするのが理想。
最近、モス・ピンクのリキッド・ルージュも入手した。私にしてはちょっと珍しい色。
こんなロングのダウン・コートは以前ならニューヨーカーがよく着ていて、寒すぎるからファッションとかいってられないんだなと思っていたけど、今年は日本中で出回っている。
逆にニューヨークは異常気象で気温22度だそうで、ニュースを見たらみんなTシャツで歩いていた。
やりすぎ。ていうか、季節感のない人ってちょっと苦手なんだ。他の五感も鈍そうで。
私が住んでいた頃の東海岸は、冬にはしょっちゅう零下何度かになっていて、そんな日は無帽で歩くと頭痛がしたり、吐き気がしたものだ。
今朝、日の出直後に出勤したら、それに近い感覚を味わう。
こういうピキーンとした底冷えって、風の寒さと違って意外と嫌いじゃない。
夜明けの外気の色とか匂いというのも、私には稀少なものなので大事に味わっている。
でも、3時就寝、3時就寝、3時就寝…で、一日だけ急に5時半起床って、やっぱり無理がある。
5時間ぐらい時差のある国に旅行しているみたい。