シモーヌ・シュヴァルツ=バールですか?

今出ている雑誌『ふらんす』に、恒川邦夫先生がグアドループについての記事を書いていらっしゃる。
地理・気候的なことから奴隷制の歴史、最新のストライキの状況までコンパクトにまとめられた紹介記事なので、ご存じない方は読んでみることをお勧めします。

ところで記事を読んで「えっ」と思ったのは、当地出身の作家Simone Schwarz-Bartを「シモーヌ・シュヴァルツ=バール」と表記してあること。

もちろんフランス語では語尾の子音を発音しないことの方が多いのだから、もともとゴンクール作家であるユダヤ系の夫のものだったこの姓をどう発音するかについては私も以前にずいぶん迷い、それでも知人のアンティユ出身者に「これ、周りの人はどう発音している?」と聞いたら「シュワルツバルトゥ」といったので、「…バルトゥで本当にいいんだね?」と念を押した上で、あらゆるところで「シュワルツ=バルト」と表記してきたのだ。

しかし記事によれば、恒川先生はご本人にも会ったことがあるらしい。
会った人がこう書くんだから決定的かな?

以前、「ミュッシャンブレ」か「ミュシャンブレッド」かで迷ったこともあるが、それについては「本人に会ったらジュマペール・ミュシャンブレッドといった」という訳者の証言を得たので解決した。
でも仮に良識ある大人が「マダム・シュヴァルツバール」と間違って呼びかけられたとして、何も正さずにニコニコ頷くことはありうることではないか?
かくいう私も「担当教員:大述先生」と書かれた出席カードをよくもらうが、「ああ今日も大いに述べすぎてしまったのかな」と自嘲することはあっても、別にその紙をつっかえしたりはしない。

それはそうと、自分も何十回も書いている重要な名なので心配になり、「シモーヌ・シュヴァルツ=バール」でググってみると…。

そんなー。口頭では「シュヴァルツバルト」っていってたように思いますけど?

ということで今のところ解決を見ず、にわかにとても気になっている。