ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』

ずっと読みたくて時間がなくて、ようやく読めて、一気に読んで感動。
パトリック・シャモワゾーの『テキサコ』に影響を受けて、その挙句にこんなカリブ海文学も出てくるんだ、ありうるんだと思うとうれしい。

主人公オスカーは合衆国のドミニカ移民で大デブのSF・ファンタジーRPG好きの超オタクの童貞。
しかし彼ほどチャーミングで共感できる人物がいるだろうか。
こんな設定の人物がカリブ海と深く深くつながるということが想像できただろうか。
そして彼のお母さん、お姉さんの壮絶さ。

ドミニカ共和国というと、ハイチの隣でハイチよりずっと「まし」な国という印象だったが(実は短期間訪れたこともある)、イスパニョーラ島は全面的にすごいところなのだとフィクションを通して痛感する。
ドミ共のFuku(呪い)にとり憑かれた人々の小説。
Fuku は●uck youともつながるらしいがFictionともつながり、Fがキーワードの小説だなあと私の読み。

それと、こんなに日本のことが出てくるカリブ小説もないだろう。
主人公がオタクなせいもあるけれど、それにしても原爆とか日本人とか。
オスカーが千回見た『復活の日』(確か草刈正雄主演だった?)と『猿の惑星』また見たい。