逆さ言葉さまざま

授業で『パリ20区、僕たちのクラス』Entre les mursを見せる。
20区の(原作では19区の)中学を舞台に、そこに通うアフリカ系、カリブ系、中国系など出身もさまざまな生徒たち24名を主人公にしたドキュメンタリー仕立てのフィクション映画だ。
一教師としても、永遠に上達しないフランス語生徒としても、とても興味深い映画なのだが、クラスの子たちが話している言葉が本当にわからない。
もちろん字幕はあるわけだが、先生がわからないのもなんなので、こんなサイトを参考にしながら聞こえた単語のスペルを想像していろいろ調べてみる。
http://www.franco-japonais.com/tomato/01/voca_a.php

ヴェルラン、逆さ言葉というのを、みんなほんとによく使うのですね。
「友達と遊ぶのは、うちんとこのチエカルで」と作文を読んで、先生に言い直しを命じられた子、「カルチエで」と今度は正しく言っていた。
例文に使われるのが「バブトゥの名前ばっか」という抗議の台詞は、「トゥバブ」(toubab=アフリカ人から見た白人)の逆さ言葉なんだな。
字幕では「シロ」と訳されていた。

それにひきかえ、日本では流行り言葉としての逆さ語が消えて久しい。
「ファム」(女)が「ムーファ」になるのと同じに、かつては「俺のナオンがよー」とか「あの店のチャンネーが」とかあったのにね。
「ジャーマネ」とか「シータク」とかもあったな。
私などは昭和の人間なので、時々、「またワイハ行きたいよねー」などと言っているが。

しかしフランソワ先生、女子生徒に「ペタス」なんて言っちゃだめでしょう。
いやがる相手に「本来、定義はこうなのだからかまわんのだ」とか言いつのるインテリってサイテー。