カリブ

9月のお題:シュザンヌ・セゼール

夫婦別姓法案が再び話題になっているが、シュザンヌ、シュザンヌと原稿に書き続けていて、バラエティタレントではあるまいし、何だか腑に落ちないながら、セゼールと書いたらどうしたって誰もがあのセゼールを思い浮かべてしまうし、と困っている。 シュザン…

サルコジ、マルチニックの自治を提案

先週半ば、サルコジ大統領がアンティユ諸島(マルチニック、グアドループ)を2日間にわたり訪問。 その折り、マルチニックの自治を問うレフェランダム(国民投票)を提案した。 演説中大統領は、これは自治(autonomie)の提案であり、独立(independance)はあ…

シモーヌ・シュヴァルツ=バルト「鍋の底から」(norah-m訳)2

私の祖父はまったく凡庸な人物であり、彼の一日はグアドループの多くの善男善女と変わらぬものだった。マンジェの行為は、祖父にとっては、科学的なところなどみじんもない。それは自然からほんの少々借用するということで、彼はそのことを完全にわかってい…

シモーヌ・シュヴァルツ=バルト「鍋の底から」(norah-m訳)

料理とは文明の一種であるらしい。個人的にいえば、わたしは鍋の底から民衆の魂が立ちのぼってゆくようなこの考えがけっこう気に入っている。しかしわたしと料理のつき合い方はもっとつつましくて哲学などとは関係なく、正直ガストロノミーなどでもない。わ…

ボルドーで奴隷制廃止記念日

最近、フランスのメディアでもあまり報道されなくなったが、昨日5月10日は奴隷制廃止を記念する日だった。 今年の公式行事はパリではなく、奴隷貿易第2の拠点ボルドーで(最大の貿易港はナント)。 アリオ・マリ内相、アラン・ジュペ・ボルドー市長、イヴ・…

Kréyol Factory 開催中

今月7日から7月9日まで、パリのヴィレット公園にて「クレヨル・ファクトリー」が開催されている。 クレオールの作家たち60人ほどが参加するアート・プロジェクトで、内容も美術やダンスなどいろいろあるようだ。 http://www.kreyolfactory.com/expositions/i…

マルチニックの闇市

マルチニックに帰省していた同僚が口角沫をとばしてゼネスト中の現地について語り続けて止まらず、授業に遅れてしまったのだが、興味深かったのはあらゆる店舗が閉鎖しながら闇市のようなものがずっと出ていて、食料には全然困らなかったという話。 お百姓さ…

グアドループで4日午後8時(日本時間の今日午前)、LKPのエリ・ドモタとグアドループ知事ニコラ・デフォルジュが署名、「通常の活動の復旧」を宣言した。つまり、一か月半におよぶストライキについに終止符が打たれたことになる(「ル・モンド」)。 この間…

マルチニックの暴動

グアドループで経営者側とLKP側に合意が生まれつつある一方、今度はマルチニックで暴動が起きた。 AFPによれば水曜から木曜にかけての夜間(日本時間26日午後)、フォール・ド・フランスでは銃で武装した若者たちにより、スポーツウエアのショップなど複数…

セゴ、グアドループ訪問+エロのココア

特に動きはないながら多く検索いただくので書いておくが、グアドループのストは一か月を超えまだ継続中。 サルコジの声明の後、LKPが態度を緩めることはなかった。 週末には元大統領候補・社会党のセゴレーヌ・ロワイヤルが島を訪問し、経営者側に200ユー…

サルコジ、グアドループについて発言

1月20日に始まった大規模ストライキから29日目にして、沈黙を守っていたサルコジ大統領が19日夕、初めてこの問題に言及。 エリゼ宮に海外県から30人の代表を迎え、グアドループ、マルチニック、ギュイアンヌ、レユニオンに対する総額5億8000万ユーロの援助を…

LKPについて

この語での検索が増えているので書いておく。 今回グアドループでのストライキで中心的役割を果たしているLKPとは、Liyannaj Kont Pwofitasyonの略。 クレオール語で、Mouvement contre l'exploitation outrancièreなどと仏訳されているが、「搾取に対抗する…

ストライキが続くグアドループで死者

島内各地で道路封鎖が続く中、この一両日放火や略奪などの暴力行為が報告されていたグアドループで、18日早朝(日本時間夕方)、運転中の50代の男性が何者かに銃弾で撃たれ死亡。男性は組合活動家でミーティングの帰路、ポワンタピートルのシャンズィ地区・…

泥沼化する事態

2月17日付「ル・モンド」によれば、グアドループではすでに最大都市ポワンタピートル近郊で、火事や若者による投石など暴力行為も報告されている。

クリスチアーヌ・トビラ議員「新たな人種断層」

グアドループでは24日間、マルチニック、ギュイアンヌでも一週間となるゼネスト。 飛行機の発着はできず、郵便業務は停止し、学校は閉鎖で子どもたちは自宅待機、わずかに営業するガソリンスタンドに長蛇の列ができている。 この間、海外県担当大臣イヴ・ジ…

日本の移民研究

人気ブログ「フランス語の砂漠」でオルノ・ララの記事を取り上げていただいたので、ついでに。 ・ 1894年から1900年にかけてグアドループの甘蔗耕地への移民を募ったのは、日本吉佐移民合資会社。 主に山口県、広島県、和歌山県の人々が応募した。 この会社…

グアドループの日本人移民

寒い、寒い大学書庫で調べ物をしていて、面白い記述を見つけた。 読んでいたのはOruno Lara, La Guadeloupeという古い本。 1921年、パリで出版されている。 ・ それによれば1894年12月19日、カリブ海のフランス植民地、グアドループのポワンタピートル港に神…

ラムフェスタ2008

こういう催しが例年あるとは知らなかったが、バー経営者の方から招待券をいただいたので顔を出してみた。 何しろラムといってもマルチニック、グアドループのラムが中心というレアな試飲会で、アクラ(タラの揚げ物)やティ・ポンシュ(ライムと砂糖を加えた…

泥のビスケット

昨日付の毎日新聞によれば、食料価格高騰で暴動が起きたハイチの首都ポルトー・プランスのスラム街シテ・ソレイユでは、人々が高い米や大豆に代え、泥のビスケットを買い求めているという。 http://mainichi.jp/select/world/news/20080602ddm001030082000c.…

奴隷制廃止160周年

一昨日5月10日は奴隷制廃止記念日というのは去年も書いたが、今年は奴隷制廃止160周年にあたる。 サルコジ大統領は、次の新年度より小学校の授業内容として奴隷制とその廃止を盛り込むと発表。 中学・高校では、エメ・セゼールの作品が扱われることになると…

赤い泥

エドゥアール・グリッサンによるすばらしい追悼文を教えてくれた人がいた。 瞼の裏にバラタの山道、バッス・ポワントの荒々しい海の景色が広がってゆく。 (その激しさは実地で知った。揺れる船になだれ込んでくる塩辛い海水で頭からジーンズまでびしょ濡れ…

葬列

親しい者たちとの一夜が明けると、パパの亡骸はなつかしい家を後にする。ちょうど今から半世紀前パパがつくった政党の、現役の党員たちが棺をかつぎ、人々が待つ首都に向って歩み出す。白を纏った党員たちは、片方の手に深紅のバリジエを掲げている。細い首…

本が出ました

朝から左耳の奥が疼くと思ったら、雨が降るようだ。 猫みたいに天気がわかるんだよな。 ・ ところで下のような本が出ました。 norahも一章書いています。 「性的支配」をテーマに、医療人類学、法哲学、文学、文化人類学などの研究者が領域横断的に議論し、…

マルチニックで地震

AFP通信によれば29日、首都フォール・ド・フランス付近を震源にマグニチュード7,3の地震。 秋にも大きなハリケーンがあり、今年は自然災害に見舞われつづきのマルチニックだ。 怪我人のほか、イギリス人の死亡者も報告されたが、後に地震と無関係と修正…

グロワ島嶼映画祭

ブルターニュの西側、大西洋に浮かんだグロワ島という島があり、そこで毎年8月、こんなドキュメンタリー映画祭をやっていることを知る。 http://www.filminsulaire.com/ 戦間期にパリ郊外で文学サロンを開いて「黒人世界評論」を発刊し、ラングストン・ヒュ…

ハリケーン・ディーン

ヤフー・フランスのロイター伝記事によれば、ウラガン・ディーン(ハリケーン・ディーン)がマルチニックならびにグアドループを直撃。 特にマルチニックの被害が大きく、この20年来、最大規模の災害となった。 地域圏市場の10パーセントを占めるバナナが…

奴隷制記念日

フランスのニュースといえば大統領選一色だけど、実は今日は二回目の奴隷制記念日。 マルタ島でのバカンスから戻ったサルコジ次期大統領がシラク大統領(16日まで)と同席し、リュクサンブール公園での式典に参加した。 政府関係者に加え、サッカー選手のリ…

去年同様、じんましんと湿疹が広がり、何となく不快。賞味期限の短い、美味しい生酒を買い込むとこうなる(蕁クス)。 梅酒に続き、辰巳芳子のレシピでピクルスを浸けた(赤と黄のパプリカ、胡瓜、セロリ)。辰巳芳子のレシピは妙に科学的で、読むのは楽しい…

ギ・デローリエ『ビギン』(2004年、仏)

Guy Deslauriers, Biguineもう限界に体がしんどくて、大学に行く代わりに近所で調べものを済ませていたら、偶然見たかったDVD、Biguineを見つける。ユーロがずっと高くて、なかなかネットで買えないでいたのだ。 ビギンは19世紀後半、パリから来たダンス音楽…

5限の途中に大音響で雷が鳴り出し、セゼールによる朗読(録音)がかき消された。校舎を出たら豪雨。控室も閉まっちゃうし、さっさと駅まで行こうと歩き出したら、一歩ごとに激しさを増し、バケツを逆さまにしたような降りになった。あまりのひどさに時々呆然…