ギ・デローリエ『ビギン』(2004年、仏)

Guy Deslauriers, Biguine

もう限界に体がしんどくて、大学に行く代わりに近所で調べものを済ませていたら、偶然見たかったDVD、Biguineを見つける。ユーロがずっと高くて、なかなかネットで買えないでいたのだ。
ビギンは19世紀後半、パリから来たダンス音楽の影響を受け、マルチニックで生まれた音楽ジャンル。そしてこの映画は、ペレ山噴火(1902)前夜の首都サン・ピエールを舞台とし、ビギンを演奏してまわる若夫婦を描いた作品である。
結論からいうと、映画としての質は低くてがっかり。一番よくないのは、安手のテレビドラマみたいな不自然なライト。黒い肌もマドラスのドレスも屋内・屋外の背景も、すべてこれによって台無しとなっている。いくらでも魅力的に撮れる素材なので残念だ(私に撮らせてほしかった)。ストーリーは単調で役者の演技も下手。パトリック・シャモワゾーのシナリオとは信じられない。音楽映画とはいえ、もう少し他の点にもていねいさが欲しい。
ビギン以外にも、本格的なベレの演奏、カーニバルの情景などあるので、「教材」としては十分かもしれない。音楽としても十分楽しい。「セント・ジェームズ」のラム酒のラベルをこれ見よがしに何度も見せるのには閉口した。ミシュリーヌ・モナ、マックス・テレフ主演。