2010-01-01から1年間の記事一覧

「北と南」創刊

友人が編集の文芸誌『北と南』が創刊しました。 水とも砂とも風紋とも知れぬような表紙の風景写真がすばらしいです。 norahは20枚ほどのエッセイ「Martinique 2010 カリブ海マルチニック島滞在記」を書いています。 売っているのは大阪のカロ・ブックスと…

中島らもの教え

苦しい、幸せ、苦しい、幸せ、苦しい、幸せ……が、お盆前までの夏の胸の内。お盆を過ぎると例年は楽(ラク)、サミシイ、楽、サミシイに変わるのだが、昨日、今日のこの猛暑には苦しい、サミシイ、苦しい、サミシイという気持ちだ。 冷房に当たり過ぎたせいで…

与那国島から

与那国島に送金して、池間苗著『与那国語辞典』を送ってもらう。 うれしいことに、与那国に伝わる口承の民話を書きまとめた『与那国島異聞』をオマケとしてつけてくれた。 読んでみると、これがかなり面白い。 ・ その『与那国語辞典』だが、あいうえお順に…

栃木県にて

ヒグラシは「カナカナカナ」と鳴くことになっているけれど、「ホキキキキキ」の方が近いということに気づく。 午前4時を過ぎて一匹がホキキキキキと静寂を打ち破ると、ホキキキキキ、ホキキキキキと距離によって違った響き方で三匹、四匹と鳴き交わしてゆく…

渇水の夏

4月から連休もろくになくずっと仕事で、7月になっても集中講義や採点地獄で、それがやっと終わっても、今度は添削や出張やあれやこれやで。 非常勤は給料激安だけど、夏休みはしっかり取れて自分の仕事に専念できるのが唯一のメリット……なはずなのだが、永遠…

アヒル口とヒアルロン酸

アヒル口が人気の顔だとかで、よくこの活字を見る。 アヒル口と書いてあるとヒアルロン酸と読めてしまい、ヒアルロン酸と書いてあるとアヒル口と読めてしまう。 ヒアルロン酸も少し前から活字界で定着している言葉だ。 言葉の趨勢って面白い。 つき合いきれ…

北大東島の移動本屋

北大東島には年に一度だけ、移動本屋がやってくる。 昨夜、テレビのクイズ番組で偶然目にしてへぇーと思った。 ・ 島には本屋は一軒もなく、出店するのは沖縄の書店。 4000点の本をたずさえ、採算度外視で船で那覇から。 公民館らしき場所がその朝開館すると…

ディベート

私が全然価値を置いていないものに「ディベート」がある。 ディベート甲子園とか、就活でディベートとか、何じゃそりゃと思っているが、なんと私はディベートの技術を教えている。 毎度、話の進め方に悩む。 ・ ディベートとは、相手に道理があるかのように…

須賀敦子からヤマザキマリへ

ヨーロッパの石の文化というものに対して、個人的に思い入れなど全然ないのだが、それは歴史の年号がどうとか、様式がどうとか、伝統がどうとかいう話の文脈に組み込まれている時のことで、そこに長く身を置いた人、なおかつすごい感受性をもった人の目とい…

どはまり

今学期から始まった専門分野の講義準備を日々猛然とやりすぎていて、家では「どはまり」と呼ばれていた。 初めて聞く言葉だったが、某大学で「楽勝」科目の反対を意味するジャーゴンらしい。 しかしはっきり言って、どはまってるのは学生よりも教師のほう。 …

今年のカブトムシ

7月2日に2匹のカブトムシが羽化した。 その朝、ケースの中のなだらかだった土が荒れていると思ったら、土に体を沈めたまま、地上に角と顔だけ出していて。 黒いつぶらな瞳をのぞかせて。 なんて可愛い! ・ 3年前に羽化するなり飛び回った荒くれ者どもとは違…

阿部和重、種なしから雌蕊へ

待ち望んだ梅雨の晴れ間のように自分だけの時間がひょこっと訪れた時、何をするか? 私は仕事上の下心なく純粋に読みたい本を寝転んで読みたい(時には手芸がしたいことも)。 ということで、阿部和重の『ピストルズ』660ページをようやっと読んだ。 数年前…

出講時のファッション

他の同業の方はどうなのか知らないが、出講時のいでたちというのは、意外と、というより、あらゆる外出の中でももっとも気を使う。 というのは、特に昨年、毎週のようにきびしいファッション・チェックを受けた経験から。 これは某(実質)男子大でのことで…

サッカーW杯はじまる(今頃)

ひと息つけた昨日から今朝にかけ、ライブ放送と録画してあったものを合わせ、4試合ほど見た。 オランダ×ブラジル戦、スペイン×ポルトガル戦、アルゼンチン×メキシコ戦(古い!)、そしてガーナ×ウルグアイ戦。 最後の試合は朝、ニュースの結果を聞かないよ…

セゴビアとカセウス

いつもは太鼓と歌のカリブ音楽などを好んで聞いているけれど、それは元気な時に限ったこと。 疲れがひどくなると、まず電子音が聞けなくなり、リズム楽器、交響楽、人の声、ピアノといった順番で受けつけなくなる。 私の場合、そんな時に欲しくなるのは、ご…

やはりドメネク

フランス代表チームがこんなにひどすぎるのはなぜかということをしばらく考えていた。 そんな時、つい自分に身近なものだから、「フランス人は」とか「カリブの人間は」とかと、個人的な体験や知識をもとにまとめてしまいそうになる。 ・ 選手ひとりずつの能…

夏至祝い

今日は一年で一番生命力にあふれた日(そして小誕生日)。 ということは、今日からまた日ごと一日が短くなってゆくともいえるけれど、とにかくこの最高に輝ける日は祝うことにしている。 ・ 今日はコピーを2800枚ほどとる用事があったので、出講帰りに高田一…

レ・ブルー、風前のともしび

日本と違って、もう後がないサッカー・フランス代表チーム。 まるで元気はないが、カリブ代表チームみたいなものだから(という出身地主義もなんだけれど、せっかくご縁がある地域なので)応援するかと思っていたのに、フランスのメディアは今、アネルカ追放…

非常勤ブルース

熱を出しながらの仕事で地獄の一週間。 楽しみにしていた「群島――世界論:音響編」にも足を運べなかったし、W杯も思うように見られない(体調悪化の一因ではあるけれど)。 ・ こんな時に歩いて行ける大学というのは本当にありがたく、いざとなればタクシー…

相模川渡り

せっかく陽が長いので、ふだんは腿までの長靴をはいた釣り人たちを横目で見ながら電車で通り過ぎるだけの相模川まで歩いてみた。 電車だとすぐ近くのようだが、徒歩だとそれなりに距離がある。 ひと続きなのか、分断されているのかわからない商店街を迷いな…

梅酒ふたたび

2年前と同日の今日、梅酒を漬けた。 私は梅にかんしてはブランド志向だが、和歌山産の青梅はここ東京では毎年6月の一週目しか出ない。 それに加えてこの時期は例年もっとも忙しい。 ・ 今年はもう諦めるかと思ったけれど、週休ゼロからようやく抜けた今週、…

訃報さまざま

先日の針生一郎氏、荒川修作氏、そして今週の大野一雄氏(103歳)……。 前衛芸術にかかわってきた人々が立て続けに亡くなる。 ・ 後者ふたりは編集の仕事をしていた頃、わりあい近いところにいた方々。 (伝説的ダンサーの生の舞台はついぞ観たことがなかった…

砂の女

安部公房が1962年に出した小説『砂の女』を大あわてで読む。 この前読んだのはたぶん中学生の時のはず。 そのわりには意外と覚えているものだ。 「モッコ」って何だろうと思ったことを思い出したが、もっと難しい言葉が他にも出てくるのに、なぜそれらはすっ…

気になるできごと、いくつか

今週になり、ジャマイカで軍と反政府派が衝突。 混乱の中、死傷者も出始めた。 きっかけは麻薬売人Christopher'Dudus'Cokeをアメリカ合衆国に引き渡すための逮捕状が出されたこと。 コークは昨年、アメリカ司法省により麻薬密売のかどで起訴されているが、当…

関係の動物

授業でコメントを書いてもらうと見事に男女差がある。 同じカリブの小説を読んでも、女子の関心はレイプされた母親と娘の葛藤に特化する。 男子は音楽のことや言語のことや政治のこと。 別の大学でマヤ・デレンのヴードゥーのフィルムを見せたら、女子は全員…

介護文学

目前の義務にどっぷり浸からなければいけない時ほど、全然関係ない本を読みたい欲望が強まってくるのが悪いクセ。 手近にあった『マクベス』と『リア王』を読む。 有名な本ってやっぱり面白いし、どこか変。 それにしても『リア王』ってつくづく介護文学だよ…

顔鍼

初めて顔面に鍼を打ってもらう。 疲労が限界に達して、以前、咬合性外傷をわずらった左の奥歯と左の首と左の肩と左のこめかみの痛みが取れなくなったため、その治療の一環として。 ・ これは何なのだろう。 左耳奥に激痛が走った時も結局中耳炎ではなかった…

植物クラブ

同じマンションの三人で立ち上げた植物クラブでひと月前初めて植えたサフィニアの株が花をつけた。 花屋さんにいわれたとおり、この数日でこぼれるほどどんどん花をつけてゆく。 一方、猫のひたい程度の地植えコーナーにはエニシダとマリーゴールドを植え、…

初夏の工作

ロングネックレスが流行りですが、安っぽい偽物に(そこが流行りなんですが)高いお金を払いたくない。 でもロングTなど今年のシルエットにはバランス的にちょっと欲しい気がしていました。 だから自分で作りました。 ・ ふたつの短いネックレス(ビーズとタ…

ウェルかめ=グリッサン説

『ウェルかめ』総集編を見る。 視聴率最低だったそうだが、個人的には面白くて、放映中は移動時などワンセグでまで見ていた。 ・ 徳島の美波という小さな海辺の町がおもな舞台。 ヒロインは世界につながる編集者を目指して修行しながら、最終的には地元で雑…