北大東島の移動本屋

北大東島には年に一度だけ、移動本屋がやってくる。
昨夜、テレビのクイズ番組で偶然目にしてへぇーと思った。

島には本屋は一軒もなく、出店するのは沖縄の書店。
4000点の本をたずさえ、採算度外視で船で那覇から。
公民館らしき場所がその朝開館すると、人々がいっせいに乗り込んで、大量の本を買っていく。
子供たちの目当てはやはりマンガ中心。
家まで待ち切れずに、会計を済ませると会場にそのまま座り込んでそれぞれに読みだしている。

お笑い芸人の誰かが「これじゃ本が好きになるだろうねえ」といっていたが、私もそう思った。

年に一度の、そのうずうずした待ち切れなさを想像すると、とてつもなくうらやましい。
いつでも本が買い放題の都心にいて、贅沢すぎる言い草ではあるけれど、今時そうそう感じられない貴重な気持ちであるのは確かだ。
世界の人と本との関係に思いを巡らす。