2006-01-01から1年間の記事一覧

プチ・ロベールをめぐって

プチ・ロベール仏語辞典の「植民地化」という語の定義に「開発」と書かれていることをめぐって、CRANという黒人団体が抗議活動をおこない、2007年版の回収を求めているとの記事を読む(22日付の朝日新聞朝刊)。 手元にあるプチ・ロベールのcolonisationを引…

ペットロス

カブトムシ(オス)が死亡。直前まで穴掘り遊びみたいなことをしてたのに、はっと見たらころりと死んでいた。ゴキ(メス)の時も、直前まで馬鹿踊りを踊っていた。カブトムシというものは、皆突然死するものなのか。 桜の根元のゴキの隣に埋葬。掘り返してみた…

溝口健二『残菊物語』(1939年)

ちょうどいい時間にたまたま恵比寿にいたので、溝口健二没後50年特集を観る。先日のテレビ放映でちょうど見逃した一本、しかも蓮実重彦が朝日新聞でベスト1に挙げていた一本だったので。 テレビで観てあんなにどれも面白かったのだから、映画館のスクリーン…

安倍政権のゆくえ

本当に安倍晋三が自民党総裁になってしまった。 小泉政権発足時みたいな有権者の強力な期待感もなく、「美しい国へ」という抽象的なキャッチフレーズの後ろに何の具体的政策もないらしいことにすでに多くの人が気づいており、犯罪的カルト教団との長く深い関…

シンクロとブルデュー

シンクロワールドカップ最終日。やはりシンクロは8人でやるチームが一番の醍醐味だ。 多人数が同じ動きをするのを見るときのゾクっとする感じ。大合唱のユニゾンとかもそうだけど、何ともいえない興奮を呼ぶ。私がこんな危ないこといっていいのか。 ともあれ…

シンクロワールドカップ2006

シンクロワールドカップ二日目。今日のソロでは実力通りほぼ一点ずつの差で、一位はロシアのナタリア・イシェンコ(テクニカル、フリーのトータル98,750)、二位はスペインのエマ・メングアル(97,550)、三位、鈴木絵美子(96,850)という結果だった。 ソロに…

侯孝賢『百年恋歌』(2005、台湾)

ホウ・シャオシエン新作の試写。1966年、1911年、2005年の台湾を舞台に、スー・チー、チャン・チェン演じる男女が三様の恋愛を生きる。 恋愛模様もさることながら、時代ごとの音楽が被さるのが印象的。たとえば66年ヴァージョンだったら、ザ・プラターズの「…

9.11 カブトムシの最期

9.11から5年。具体的な記憶は今もはっきりしているけれど、あの時のアメリカ、あの時の日本、あの時の自分は確実に過去のものだと感じられる。多くの人と同様、その後のアメリカ合衆国をネガティブにしか捉えられない一方で、広い意味でのアメリカスという場…

大根飴、虫の音

熱は下がったけれど、今度は咳。大根の角切りにマングローブ蜂蜜を入れて、大根飴を作る。 この三日間、食事といえばアイスクリームとかにゅう麺だったのに、急にちゃんとした外食(韓国家庭料理)。その席に大根飴とお猪口を持参して、おしゃべりの途中咳が…

リービ英雄『千々にくだけて』(講談社、2005年)

あんまり気が滅入るので解消しに美容院に行ったら、逆に表参道で冷たい霧雨に吹きつけられて発熱。最寄りのヴェローチェで動けなくなる。私はヴェローチェの雰囲気やコーヒーの味が好きではないのに、いつもなぜか行かざるをえない因果であるようだ。 久しぶ…

フーベルト・ザウパー『ダーウィンの悪夢』(2004年、フランス・オーストリア・ベルギー)

平日の試写とは思えない混雑の中、パイプ椅子で見て肩が凝ったけれど、見てよかった。 かつて多様な生物の宝庫ゆえ「ダーウィンの箱庭」とも呼ばれたタンザニア・ヴィクトリア湖の現在を追うドキュメンタリー。 60年代頃、ちょっとした試みで放たれたバケツ…

フランソワ・オゾン『ぼくを葬る』(2005年、フランス)

末期ガンで余命わずかと宣告されたファッション・カメラマンの男(31歳、メルヴィル・プポー)が実際に死ぬまで。 祖母(ジャンヌ・モロー)を除き、誰にも病気を告げないまま、恋人や家族たちに自分なりの別れをし、インスタント・カメラで写真を撮り、最後…

夏の後始末

日に日にカブトムシに愛着が湧いてくる。メスは馬鹿だし、オスも見かけに反して雄々しくなくて気立てがいいので、両者ののどかなやり取りを何十分でも見飽きない。 どうしても小バエがたかるので、虫かごの天井に貼りつけ式の小バエ取り、新しいクヌギマット…

アフリカ・リミックス

昨日、駆け込みで「アフリカ・リミックス」展。玉石混交ながら、好きな作品もいっぱいあったのだが、思い返してみるとアーティスト名も作品名もろくに覚えていない。 唯一覚えているのが、ジェーン・アレクサンダー(南アフリカ)の「アフリカの冒険」で、砂…

カブトムシ一家

新たにカブトムシのオス一匹、幼虫四匹を入手。オスをさっそくメス一匹居住のケースに移す。 メス(ゴキと命名)はアホと呼ぶにふさわしい性格で、天ぷら衣をつけたナスみたいに全身を土まみれにしてるかと思うと、伸び上がってカニみたいに手脚を振ったり、…

駆け込みで「プライスコレクション・若冲と江戸絵画展」に行く。 正直いって、話題になるまで伊藤若冲なんて知らなかったのだが、江戸時代にこんな大胆な空間の捉え方や題材の選び方をしている画家がいたのは驚きだった。 狩野派とかもそうだけれど、虎を見…

赤城カフェで山本のりこさんのボサノヴァ・コンサート。 数ヶ月前、偶然その素敵な歌声を聞いて心打たれたのだが、今日は正式のコンサートということで、たっぷり堪能させてもらうことができた。 基本的にはボサノヴァのスタンダード・ナンバー。私の大好き…

ソクーロフ『太陽』2004年

昭和天皇の描写といっても、多くは作り手の想像なのだし虚構なのだし、それを何ともいえないのだが。 イッセー尾形の「おかみ」は、確かに私の知っている昭和天皇とよく似ていた。表情や口の動かし方、しゃべり方。でもその多くは戦後、メディアに登場するよ…

母国語の幸せ

フランス語を書きあぐねて、ついに書き終わったら、とたんに気持ちが晴れる。こんな苦悩の経験のたび、母国語ってつくづく自由を謳歌できる安住の場だよなあと感じてしまう。こうした実感をもてるって実は幸せなことではないだろうか。 解放感のせいで、次な…

男の子パラダイス

ついにカブトムシの番いを入手したのだけれど、たった一日半でオスが逃走。 ちっこい虫籠に入れておいたら、自力で蓋を開けてしまい、ベランダの隅にメスだけうろついてるのを発見した。 カブトムシのオスは飛べるんだった。フランス語では「空飛ぶ鹿」、と…

子育てづくし

二度目に獲れたゴーヤを実家に持って行き、豆腐との炒め物にして食べる。収穫したもの以外でも、焼き鳥屋とかいろんなところで、ここのところ毎日ゴーヤばかり食べている。 この一週間は、姪をあやしたり、ものしり博士として甥2に世界のことを教えたり、甥…

ゴーヤ収穫

夏バテ。数行書いてはネット(インターネット)をチェックの駄目な一日。 今年最初のゴーヤを収穫する。市販のものと比べると半分ほどだが、去年より大きい。苦味が強かったので、ごま油で炒めて塩をパラパラ、しょうゆをぽっちり垂らして鰹節をまぶして食べ…

ゴーヤ収穫

留学の季節

フランス語を書き出すと、俄かに気鬱になる。 夏は留学する若者たちを見送る季節。いつの頃からかそういうことになってるなあ。そういう若者と話していると、彼らが異国での未知の体験に胸を膨らませながら、その体験を経た後の自分というのも想像しているの…

スターダンサーズ・バレエ団、ピーター・ライト版『くるみ割り人形』、新国立劇場

長年ファンである吉田都とフェデリコ・ボネッリ主演。吉田はシルヴィ・ギエム、アレッサンドラ・フェリと同世代だが、ギエムと違って純粋古典派、叙情的な可憐さが持ち味、とまるでタイプの異なるダンサーである。むしろフェリとはタイプが似ているものの、…

上野千鶴子『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』岩波書店、2006年

女性も兵士となることが男女平等と考えるようなフェミニズムを本書ははっきり批判しているが、著者もまたそのように男並みを目指すラディカル・フェミニズムを標榜しているのだろうかと、私はある時期まで考えていた。今は著者の意図はそういうところにない…

吉本ばななと悪夢

アメリカ人作家を囲むやや私的な集まりで、吉本ばななさんにお会いする。日本の作家は一種の芸能人、との実感がこれまで強かったため(新人以外)、そのトップをゆくばななさんが存外に普通な感じなのは少し驚きだった。普通な感じ、というのは、意識的なイメ…

ヨガとファッション

期限ぎりぎりで、ようやくホットヨガの回数券を消化する。ここのところ詰めて通ったおかげで、ウエストがずいぶん引き締まったし、柔軟性も増した。先週は一段上のクラスに出たが、カポタ・アーサナ(鳩のポーズ)、ナタラージャ・アーサナ(舞踊王のポーズ)…

ドン・キホーテとブニュエル

堀越千秋の絵本『ドン・キホーテ・デ・千秋』とブニュエルのDVD−BOX1を買う。 堀越氏は、去年新潮社から出た『ドン・キホーテ』新訳の装画を担当したスペイン在住の画家・陶芸家。刷毛ですーっとはいた色の裏側に別の色が透けて見える、その色使いとタッチ…

ルイス・ブニュエル『欲望のあいまいな対象』

ルイス・ブニュエルの『欲望のあいまいな対象』を久しぶりに観る。1984年に有楽シネマで観て以来何度となく観ているけれど、ネズミ捕りの場面、ハエの場面、子豚の場面など、ずいぶん忘れていた部分があり、楽しめた。今日見直した理由は、わりあい身近な学…