ドン・キホーテとブニュエル

堀越千秋の絵本『ドン・キホーテ・デ・千秋』とブニュエルのDVD−BOX1を買う。
堀越氏は、去年新潮社から出た『ドン・キホーテ』新訳の装画を担当したスペイン在住の画家・陶芸家。刷毛ですーっとはいた色の裏側に別の色が透けて見える、その色使いとタッチの爽やかさ、大胆さが大竹伸朗を思わせ、気に入っている。
ドン・キホーテ・デ・千秋』は新訳全集用に使うはずだった絵をまとめ、画家自身がセルバンテスの原作を翻案して絵本にしたもの。どのページもとてもきれい。
ギュスターヴ・ドレからダリ、しりあがり寿まで、セルバンテスって画家に恵まれているなあ。その点、プルーストは全然恵まれてない気がする。
ブニュエルのDVDは『幻影は市電に乗って旅をする』『河と死』『皆殺しの天使』の三作を収録。ブニュエルはこの22年来、一番好きな映画監督だ。別に誰かの影響とかではなく、ミルクのデザイナー、大川ひとみの過激ブランドObscure Desire of Bourgeoisieに憧れていたから、その原題である映画を観た、というのが始まりである。
『皆殺しの天使』は22年前に観てうろ覚えのまま、初めて書いた短編小説の題材にした。水族館に人々が閉じ込められる話に変えた。管理が悪くて、どこかになくしてしまったけれど。
学生からのレポートが郵送されてくる。授業を好意的に評価する内容の私信が何通か入っていて、ちょっぴりうれしい気分。