シンクロとブルデュー

シンクロワールドカップ最終日。やはりシンクロは8人でやるチームが一番の醍醐味だ。
多人数が同じ動きをするのを見るときのゾクっとする感じ。大合唱のユニゾンとかもそうだけど、何ともいえない興奮を呼ぶ。私がこんな危ないこといっていいのか。
ともあれ、そういう同調性では日本が一番。昨日のデュエットに出た中国の双子(蒋姉妹)の不気味さには及ばないけど。しかしロシアは同調性は当然のこと、リフトの高さ、しなやかさなど遥かに上をゆく堂々の99,100。うっかり大相撲を見てしまいロシアのテクニカル・ルーティンを見逃したのだが、フリーの芸術点では10,0が5個も出た。
サルバドール・ダリをモチーフにしたスペインはじめ、ヨーロッパやカナダ勢は構成にセンスが光る。スペインの演技前の地上でのポーズ、あれは『アンダルシアの犬』でナイフを入れられる眼を表していたのだろうか。そして最初の人間二階分(?)あるリフトは、例の象の絵だろうか。ふたり一組でやる腕の輪っかをくぐる演技は虎の絵だろうか。そして何とも印象的で悪夢のような大蜘蛛のポーズ。さまざまにイメージを掻き立てられる4分間だ。
他にも横にふたり並んだリフトや二階建てリフトなど、カナダや中国のアイディアが面白かった。鳳凰をかたどった中国の地上でのポーズも。
それに比べて、日本の振り付けはどこか野暮ったく、毎度のことだが面白味に欠けている。元気印でばっちり揃っているのはいいのですが。総合点97,750でスペインに0,15点差で勝ったけれど、私はフリーはスペインのほうが好きだった。
シンクロで水によく浮くには、筋肉をあまりつけず脂肪を増やすのがいいんだそうだ。前に現役時代の小谷実可子の食事日記を読んで、大喰らいぶりに驚いたことがある。特にアイスクリームを食べまくっていた。
そういうわけで他のアスリートのように筋肉質のからだなら何とも思わないところを、シンクロ選手はどうしても見ていてエロな感じがある、気がする。
その後、荻原浩原作のドラマ『僕たちの戦争』もつい見てしまう。何だかテレビばかり。
まだだるいけれど、頭痛などは取れたので少しは小難しい本も読み始めないとと思い、昼はブルデューの『ディスタンクシオン』を読む。ずっと前、授業で読んで以来。
なんか学歴資本と文化資本の関わり合いのことなど、あらためて具体的に考えてみるとつらい。我が身の分裂したハビトゥスを思いやるとあ〜あと思う。それからこういう本を手に取って内容を確認するのは、結局高度な学歴資本をもった一部の人間だけなんだなと思うと、それも何だかなあと思ったりする。いや、別に社会学の本の内容に感情移入しているわけじゃなくて、別の目的があって読んでいるんだけれど。
それはそうと、知っている人が訳した本というのは読みやすい。字を追っているとその人の声が聞こえてきて、朗読してもらっているような感じなのだ。どんな種類の本も概してそう思う。難しいけど読まなきゃいけない本は、知り合いが翻訳してくれるとありがたい。