シンクロワールドカップ2006

シンクロワールドカップ二日目。今日のソロでは実力通りほぼ一点ずつの差で、一位はロシアのナタリア・イシェンコ(テクニカル、フリーのトータル98,750)、二位はスペインのエマ・メングアル(97,550)、三位、鈴木絵美子(96,850)という結果だった。
ソロにかんしては、文字通り大きく水をあけていたフランスのヴィルジニー・デデューの引退を受けての女王争いである。鼻栓も必要とせず、魚類じゃないかと思わせる自由さで肢体をくねらせていたデデューに追いつける者などいなかったけれど、彼女の出現により、シンクロのソロ演技のレベル全体が一段階上がった感じがする。そういえばスイスにも、マグダレナ・ブルナーという鼻栓のいらない選手がいた。
しかしデデューっていつも言われているけど、ドゥデュー、せめてドデューが正しいでしょう。
上の三人はいずれも魚類でなく人類だけど、それぞれにいい演技だった。個人的には、メングアルの情熱的でいてしなやかな演技が好き。低く斜めにかしげたままやるオリジナルスピンも、エミコ・スペシャルより面白い。
鈴木絵美子はフィギュアの村主章枝同様、柔軟性に欠けるのがネックだ。体を逆向きにしたスプリットのとき、どうしても両脚をぴったり水面につけることができない。白石宏さんという鍼灸の先生に治療してもらったら、そのときは鈴木もぴったりスプリットできているという場面をドキュメンタリー番組で見た。こんなすごい鍼灸があるなら私も施術してほしい。
いずれにしても上位の選手たちは、スピンの高さ、速さ同様、広いプールのなかでの「進み」がすごくて、そこが下位の人たちと違う気がする。固定したカメラを通して見ていると気づきにくいが、短時間でプールの全然違う場所まで立ち泳ぎしているのがわかる。
昨日は「フリーコンビネーション」という種目を初めて見たけれど、群舞とソロが組み合わされているところがバレエみたいで楽しめた。
チーム競技は、かつてトップだったアメリカが全然だめになったり、日本人コーチの指導でスペインが劇的に伸びたりと趨勢が激しいが、ぎりぎりまでがんばって最高のものを出してくる日本より、長く揃った肢体と抜群の音楽性をもったロシアが頭ひとつ上を行っているというところだけはずっと変わらない。アメリカはラスベガスに「オー」というすばらしい(ともっぱら噂の)プロのシンクロ集団がいるというのに、どうしてだめなんだろう。舞台のなかに巨大な水槽がしつらえてあるという「オー」、予約でいっぱいみたいだけれど、同じく水槽を使うピナ・バウシュの「アクア」同様、一度は見てみたい。
しかし微熱がひかない。もう十日ぐらい。何をやってもつらく集中力がなく、テレビとビデオばっかり見ていていいかげん焦る。咳が止まらず、二瓶目の大根飴を作る。