スイカズラの匂い

鼻の奥にスイカズラの匂いを思い出そうとして思い出せずにいる。
少しだけ登場する藤の匂いの独特な甘さならなんとなく思い出すんだけれど。
スイカズラの匂いも思い出せない人間がフォークナーを語っていいんだろうか。
誰も怒らないだろうしバレないだろうが、私の倫理ではちょっといけない。

スイカズラはディープサウスではむしろ外来種で、日本など東アジアが原産。
漢方で使う金銀花と同じものである。
夏から最近までよく見かけるノウゼンカズラと名前は似ているけれど、あまり関係ないらしい。
ノウゼンカズラはいかにも熱帯めいてぽってりした橙色の花をつけながら、意外に匂いは少ない。
スイカズラと花のかたちがそっくりなのは虎の尾(サンセベリア)で、2、3年に一度狂ったように鈴なりの花をつけると、胸苦しくなるほど濃厚な甘い匂いを室内中に発している。
だいたいあんな感じか。
インターネットは何でも調べられるけど、匂いまで嗅ぐことはできない。

北海道から来た人がキンモクセイの匂いを知らないと言っていて驚いた。
岩手の人も見たことがなかったという。
北方には育たない樹木ということか。

ところで前のエントリーで「ピコのためのプカ」の「プカ」ってかわいい言葉だなあなどと関心して書いたものだが、自分がもともと知っていて日常的に使っている用語だと突然気づいた。
フラのフォーメーションでラインとラインの間の立ち位置に来るときプカっていうけど、そのプカとあのプカは同じですね。
空隙のことなわけですね。