フランクリン・J・シャフナー『パピヨン』(1973)

以前観たのは子供の頃。
面白くて好きだったのだが、仏領ギュイアンヌが舞台なことはさすがに知らず、独房で虫を食べる場面やラストの海に飛び込む場面が記憶に残るのみだった。
初めてダスティン・ホフマンを発見して「いい俳優だな」と思ったのもこの作品だ。
ギュイアンヌの流刑地・悪魔島といえばドレフュスが投獄されていたことで有名だけれど、『パピヨン』の原作者アンリ・シャリエールが映画のスティーヴ・マックィーンと同じく、じっさいに無実の罪で服役していたところ。
悪名高い監獄はもちろん、吸い込まれるほど美しい色ながら荒々しく打ちつける海に囲まれた黒い岩場の風景もふんだんに現れる。
手を貸してくれるハンセン病の首領の場面、半裸で暮らす先住民の楽園の場面、そして意外に多い幻想的な場面など、すっかり忘れていたいい場面がたくさんあった。
わたし的には『パイレーツ・オブ・カリビアン』よりよほど面白い。
ちなみに捨て身で海に飛び込んだシャリエールは、溺れ死なずに無事逃げ延び、のちにベネズエラの市民権を獲得して完全な自由の身になった。
この映画の撮影も見に来ていたという。