西を極める

去年の今日は、日本の最西端に行った直後だったが、今年はフランス最西端、ラ岬を踏んだ。
これがほんとの地の果て、フィニステール
同じ最西端といっても、島と古い大陸の違いは大きい。
小型バスが進む一本道の両側に、ヒースのはびこる広い広い茶色い大地の起伏がひろがり、そのまた向こうに岩の塊が、さらに海が見えてくると「ああ、もうすでにわたしは感動している!」と運転手に訴えている。
ちなみに運転手を含めこの辺の男の人は皆、ずんぐりしたガリア人とはだいぶ異なるイギリス男風の美形で、だからといって自意識過剰にスカしたところなどまったくない気さくさでとてもいい。

しかし交番二箇所の与那国と違い、突端の岩場には、大戦中に海に沈んだ兵士たちを祀るマリア様像のほか、レーダーを備えた軍の施設も建っている。
場所を考えれば当然のことか。

アメリカの最西端はどこかと考えると、州に入っているところでいえばカウアイ島じゃないだろうか。
だとしたらアメリカも西を極めたことになる。
西を極めるって楽しい。
でもたぶん、東を極めるのも楽しいと思うけれど。

私は地図を見ながら、とりあえず日本を基点としてこれまで行ったことのある一番南はどこ、一番北はどこなど考えるのが好きだが、よく考えたらそれは日本が真ん中にある地図の常識にとらわれた愚かな考えであって、もしかしたら行ったことのある一番東は台湾で、一番西はハワイかもしれない。