イノギュレーション・デー

オバマ大統領の就任式典は、CNN、CBSNBC、C-SPAN、FOXなどをザッピングしながら見た。
コメンテーターの声だけが違うものの、すべてのチャンネルが同じ場面をライブで映し出している。
やはり日本語による編集を受けた番組を見ているのと気分が全然違う。
200万人が集まるキャピトル・ヒルでの式典と、抑制されつつ清新で力強い演説。
いやがうえにも感動が高まってくる。
歴史的な日に立ち会っているのだという実感がある。

テレビ、新聞といった既存のメディアというのは、つくづくそれが属する国家、ネイションの範疇のものだという気がする。
局によって、保守とかリベラルとかいう傾向があったって、所詮アメリカのメディアはアメリカのメディアである。
日本は日本で、どこもかしこも報道の切り口が同じであり、できごと全体の中で同じポイントばかりを取り上げているようだ。
アメリカのメディアだけに接しているアメリカ人が、そこから脱した発想をすることはむずかしい。
それは日本でも同じこと。
9.11の事件の後、アメリカのメディアにだけ接していて、帰国してからいかに自分がその影響を受けていたかを知り愕然とした時にもそう思った。

アメリカ人気分で感動的な式典を見ながらも、サドルバック教会のリック・ウォレン牧師の登場にはやはり違和感をもった。
アメリカ合衆国大統領が聖書に手を置き宣誓するのはリンカーン時代から知られた伝統で承知の上だが、それでも世界一のこの大国がまったく政教分離でないことには毎度のことながらはっとさせられ、「オー、ロード、イスラエル」と朗々と説教をおこなう福音派教会のこの牧師にはなおさらとまどってしまう。
同性愛婚などに強硬に反対する超保守派のカリスマ指導者である。
「ベストセラー作家でもある」と字幕が入ったので調べてみると、日本でも相当な数の著作が翻訳されていると知る。