ジャック・ペラン『WATARIDORI』[Le peuple migrateur](2001、仏)

この他に、それぞれ違う大学の授業で見せる映画2本、サッカーワールドカップ予選・日本×オマーン戦、NHKの特集「ガラパゴス大異変」やマシ・オカの番組など。
濃い映像を複数観ると、個人の時間や人生では賄いきれず、ふらふらになる。

WATARIDORI』では高速で飛びすぎて羽根が痛い。
特に両方のつけ根のあたり。
糧のための海へのダイブも消耗する。
でも、数千キロの遠大な景色をつなぎ目なく空から見られるのは大満足。
北ヨーロッパの森林や山岳地帯、一面氷のアイスランド、北極付近は気持ちがいいが、アフリカやアメリカの砂漠を飛ぶのはきっつい。

一転して人の立場で見ると、どうにも私は鳥類が苦手だ。
(小鳥と子鳥をのぞく)。
形態も質感も匂いもダメ。
特にカモやウミネコのたぐい。
脚が太くてズボンを穿いて立っているようなワシは鳥人間めいていて怖い。
近くでハトが一斉に飛び立つと、全身にあわ粒が立つ。
ダチョウに高速で追いかけられる悪夢は何度も見たことがあるが、やはり集団で羽ばたく鳥というのが一番恐怖を感じる。

それでも渡り鳥の飛行の本能というのは感動的ではある。
特にキョクアジサシの、北極から南半球まで30000キロ以上の往来というのは感慨深い。
小さな体で、パスポートもマイレージも関係なく、ほとんどの人間が一生かかってもたどりきれない景色をたどり見知っているわけなのだから。

この映像、17人のパイロットと14人の撮影クルーが超軽量飛行機に乗り、移動する鳥たちのごく近くから撮影したそうだ。