セゼール追悼

個人的には、この数年、身近に親しんできた作家のひとりである。
決してよい読者ではないにしろ、『帰郷ノート』('39)の詩の言葉の緊張感と激しさには惹きつけられ、『トロピック』誌や『正当防衛』誌に発表された若い時代の文章にも強い印象を受けた。
後続の作家への影響という観点から、インタビューや研究書でその思想に触れ、『ある嵐』('69)などの戯曲の構造には批判的な感想をもっていた。
最近は、アンティユの文学における「逃亡奴隷」の系譜への興味があり、58年に発表された戯曲『そして犬たちは黙っていた』を読んでみたいと思っていたところだった。

ご冥福をお祈りしたいが、その魂はアフリカへと渡るのだろうか…