空から星が降ってくる(西ドイツ=オーストリア、1961)

主演がイナ・バウアーだからといって、昼間っからテレビでしょうもないB級映画をと思いつつ、いろいろ見どころがあるではないか。
興行師ものといえば、ブロードウェイを舞台にした30年代の娯楽大作『巨星ジークフェルド』があるけれど(確かプイグの小説に、うっとりする対象として出てくるのではなかったか)、あのチープで豪華な楽しさを、さらにチープで明るくした感じ。
鏡のようなリンクの上で、ばら色やモーヴ色のサテンをまとった少女たちが踊り滑る。あとからソロで登場し、くるくる回ってみせるのがイナ・バウアー
若い娘は皆かわいいといった意味で、パツパツしていてとてもかわいい。
いかにも「外国」風(冷戦下、プラザ合意以前の遠い憧れの国)の氷上レビューの世界、幼少時に見ていたら興奮して眠れなくなっただろうな。
実際ケロヨン・ショーから宝塚まで、レビューものに対してはすべからく興奮のルツボと化していた気がする。
最初期オリーブ少女は、この手の世界に弱いのである。
(こういう雑多でガーリーなものの蓄積が邪魔をして、研ぎ澄まされた境地に行けないのだ)
イナ・バウアーによる元祖「イナバウアー」を初めて動画として見る。
技術的には荒川静香キム・ヨナにはるか遠く及ばない。
共演はスキーのコルチナ・ダンペッツィオ五輪メダリスト、トニー・ザイラー
まさに冬季五輪オタクの心をとらえる映画だ。
ザイラーは日本のスキー映画にも出ていて、鰐淵晴子と共演している。
鰐淵晴子がドイツ語話者と初めて知った。
ゲザ・フォン・ツィフラ監督作品。