モーリス・ベジャール死去

22日、スイス・ローザンヌ振付家モーリス・ベジャールが亡くなる。80歳。
偉大だが、個人的には必ずしも入れ込んでいたコレオグラファーではなかった。
でももしかしたら、これまで見たバレエの中でもっとも多くを占めているのがベジャール作品ではないだろうか。
春の祭典、M、愛が私に語りかけるもの、ギリシアの踊り、バクティ、Mr.C...チャップリン、、、
大きな作品では男性群舞が際立ち、小品はダンサーの個性とともに印象に残る。
ルジマートフがこの上なく色っぽかった「恋する兵士」、ギエムの「ルナ」(キュービックなんとかという作品もなかったか?)、上野水香の存在感を初めて知った「ギリシアの踊り」。
何より衝撃にうたれたのは一昨年ギエムが最後に踊った「ボレロ」だった(トラックバック参照)。
もともと1961年、ベジャールがジョルジュ・ドンのために振付けた作品だが、本当の獣のようだったというドンの生贄役を私は生で見ていない。
だが求道者というべきギエムの生贄は、これを超えるものはないと思えるほど凄まじかった。
そして、音楽、赤と黒に絞った舞台演出、生贄を取り囲む男性群舞の動きを含め、こんなオリジナルな構成のバレエは他に見ない。
ローザンヌ・バレエのダンサーにしてベジャールの片腕だった小林十市の中性的な魅力も忘れがたい。
ご冥福をお祈りします。