Nicolas Roeg, Walkabout(1971), Francis Jupurrula Kelly, Bush Mechanics series(2001)

何だか最近、ひとりで劇場に行くのが億劫というより苦痛で、研究会でしか映画を観てない。
それはそうとアボリジニものの2本、どっちもすごく異様で面白かった。
前者は、ピクニックの途中、父親から心中の道連れにされそうになったブルジョワ白人の姉と弟が砂漠をさまよううちアボリジニの青年と出会い、一緒に行動するというもの。
姉弟を執拗に銃で狙う父親の様子がまず変。
砂漠なのに、いかにも英国風な制服をきっちり着込み、高校生の姉はストッキングまで履いてるのが変。
姉と弟が親子に見えるほど大人と子供めいているのが変。姉はフェロモンばらまきでスカートは短すぎ、つねに性的な側面が強調されている一方で、弟は玩具で遊ぶまるで幼児。
惹かれあうアボリジニの青年と姉の顛末が奇妙。
砂漠にはこれでもかというほどオセアニアの珍獣が勢ぞろいする:カンガルー、エリマキトカゲウォンバットバッファローなどなど。
物語と関係なく映画に出てくる動物って好き(オアシスで姉弟が眠りこける夜中、弟をくんくんしてそのまま何もせず去っていくウォンバットとか)。
もう一方の作品は、物語というよりやらせも込みのドキュメンタリーで、アボリジニのロックバンドがどこか遠くでやるライブに出るため、ぼろぼろの廃車に適当にタイヤとかハンドルを調達して延々ドライブするというもの。
当然途中で何度も動かなくなるのだが、車軸代わりに生えてる木を切って使ったりとめちゃくちゃぶりが楽しい。
かねてからこういうジャンルは掘り出し物が多いと思っていたけど、これもそのひとつであった。
私は映画は、どこか自分なりの笑いのツボにはまって笑える部分があるのが好きだ。
完成度が高くても、シリアスなだけなのはあまり上位に来ない。
要は作られたギャグなどではなく、作品に働いている制御から逸脱した部分があると笑ってしまうのだと思う。

ところで、こういう風に映画などの内容を書く時に最近よく「以下、ネタバレ注意」という断り書きを見るけれど、どういうことなのだろう。
ハリポタだとかオチのあるドラマなどはわかるが、大半の映画にはどっちでもいいことなんじゃないかなあ。
少なくとも私は観る前に映画の筋を読んでも、何の差支えもない。
筋が重要なんじゃなくて、それがどう撮られているかが重要なんだから。
だいたいこの「ウォーカバウト」だって、紹介者の方が事前に筋を言ってくださったにもかかわらず、ちょっと間違って理解しながら見ていた(だってブリティッシュな発音の上、字幕もなかったんだもん)。
でも大勢に影響なんかなかったと思う。

ずっとずっと楽しみにしていた今夜の皆既月食
なぜ今日にかぎって東京は雲ってしまったのだ。
さっきから物欲しげに何度も空を見上げている。
先日のペルセウス流星群も見逃した。