志人、なのるなもない

スケジュールが厳しいところへ、鎮痛剤も効かないほど腕が痛くて吐き気がして目眩がして首がぱんぱんで、消え去りたいような日々だったのだが、先週フランスの暴動とラップについて発表した学生が貸してくれたCDが一服の清涼剤に。
日本のラップなど、というかラップ一般を、そんなに聴くことはないんだけど、日本社会を反映してなのか怒りの調子というよりはゆるやかな調子で、歌詞も小説みたいな感じで、重力に耐えられないでいる心身にはちょうどよかった。
フランスのラップが最底辺から出てきて、今パリ市内の中流の若者にも広がっていることと、日本のラップがこの志人(折神というユニットのメンバー)みたいに比較的恵まれたところから出発して、近頃広がりつつある貧困層に流れていることは並行してとらえられる、という分析はなるほどなーと思う。
ところで学生たちの発表は面白い。
まとめ方やテーマの消化はともかくとして、普段はどうにも大人しいのに、実はそれぞれ興味の対象がちゃんとあるということが判明する瞬間というのは気持ちいいものだ。
行きたいと思いながら、結局時間がなくて作品展に足を運べなかったマルレーネ・デュマスとタルシラ・ド・アマラルの比較についての発表なんて、こっちのほうが勉強になったぐらい。
ケベックの言語についてとか、トリニダードのスチールドラムについてとか、バラエティがあって楽しめる。
きつい日々(2本目の論文を書いてちょっとだけ脱した)、学生は少しの元気をくれる。