医者嫌い

大病院の医師たちにはほとほと頭に来ている。
小さな子供の体調を親が気遣うのは当たり前だが、健康管理をしない大人に対して、付添い人(家族)は何の責任ももたないはずだ。
患者の態度に苦言をいうのに、本人にでなく、付き添いの家族の怠慢や不注意を叱ってはばからない医師が多いのに驚き呆れる。
人格も体調もなっていない大人の患者に付き添っている時点で、家族はすでにできるだけのことをやっており、大きなストレスにさらされていることもわからないのだろうか?
信じられないことには、医師が言葉の暴力で付添い人の心身を悪くしているのである。
これは医師不足とか超過勤務とかと関係ない、環境の違う人への想像力の問題。
こんな医者からはどうしたって自分では汚れもの一つ洗ったことがなく、仕事が終われば殿様然と傅かれている無神経なエリート像が浮かんでしまうではないか。
心療内科の小さな医院や東洋医学を取り入れた整形外科だと起こらないが、本格的に体が悪くなったら、設備のある現代医療の大病院に行かざるをえないのに、その都度こういうことが起きてくる。
今もっとも憤ってる問題だ。

うつ病患者のケアなどに関しても、周囲の理解と全面的協力ということをやたら強調するのがどうも引っかかる。
患者にとってはいいだろうけど、その周りの人のストレスのケアはどうされるのかということ。
発病以前の患者の人となりということも重要だ。
「いつも優しく、大好きだった大事なあの人」ばかりが発病するわけじゃないんだから。
うつ病アルツハイマーものの映画やドラマは、そういうところの葛藤があまり描かれていないことが多い。
病にかぎらず、こういう「キレたもん勝ち」な傾向が耐えがたい。
結局周りで気丈にやってる者たちが尻拭いをさせられ、貴重な自分の生を削られるのだ。
どうも私は好きなことしかしないで周りのことなんか気にしない人にきびしいところがあって、自分でよくないと思っているのだが(っていうのは、こういう人が面白いものを生み出せたりするのだからもっと温かく受け容れろよと思うから)、周りに置かれた側の立場で考えるとつい理不尽だという気持ちが先に立ってしまうのである。

過剰に保護者的な態度というのも問題。
馬鹿で未熟な70過ぎの息子を優しく叱りながら、息子の妻をもうひとりの息子の保護者と見立てて「いいつけをよく聞くんだよ」などと諌める100歳近い老女とか、教え子が公の場で話しているのに、話の腰を折って指導してくる教授とか。
やめましょうよ、そういう過保護なママ的態度は!
相手のためになんかならないよ。

そういう私も、意味不明な理由からマルチニックで入国拒否され、途方にくれて電話してきた後輩がどうしているか、けっこう心配でならないのだが。