東京国際芸術祭2007

レバノン演劇『これがぜんぶエイプリルフールだったなら、とナンシーは』(ラビア・ムルエ脚本・演出)を観る。
70年代以降のレバノン内戦下、PLO寄りや共産党系、キリスト教系など各派に身を置き、殺された者たちがそれぞれの状況をとつとつと語るという趣向。
政治プロパガンダ的なスライドを背景に4人の死者がばらばらに語ることで、レバノンの現代史が浮かび上がってくる。
会場の「にしすがも創造舎特設劇場」はもともと中学校の校舎(体育館?)で、天井の高い真っ暗な空間はなかなかよかった(会場入り口のわざと夜間工事現場風にした柔らかい灯りも。半月に照らされた東京北部的な味わいの駅前も)。
内容は字幕を追って何とか理解できたけど、敵対するセクト同士の関係や趨勢や他国との関わりなどかなり複雑(マニアック)。たぶんほとんどの日本人観客には難しかったんじゃないだろうか。
死者が死んでもまたゾンビみたいに生き返り、何度も戦って死ぬという作りは面白かった。
この内容のアラビア語脚本を映画より短い字幕にするんだから大変だ。
しかもこの翻訳者は、先々週には私に中国語を教えてたんだからな。

ヨガに行くつもりが右腕の筋を再び痛めたので中止し、ここに来てよかった。
ここのところずっと真剣にテレビを観過ぎていた自分がすごい馬鹿に思えて落ち込んでいたのだが、静寂に満ちた暗い演劇空間の中でやっぱり私って知性派なんだなーという暗示にかかり、気分が落ち着く。
ちなみに右腕の筋は一ヶ月前からずっと変に痛いんだけど、原因はダーツを真剣にやったことか、バッティングセンターの左投げピッチャーという設定の台で打ち、空振りしまくったことのどっちか。