世界フィギュア男子ショート、世界水泳シンクロ・ソロ・フリー

マリア・カラスを演じたヴィルジニー・ドデュー(デデュー)がカムバック後の優勝。
私はイシェンコの演技には感じるところがないのだが、スペインのエマ・メングアルのしなやかさと熱さはとても好きだ。
そうはいってもイシェンコやメングアルとドデューはまるで違う次元にいる。
同じシンクロ競技の場所にいながら、全然別のことをやっている。
田中ウルヴェ京さんも同じようなことをいっていたけど、ドデューの挙げる水しぶきはすべて必要があって挙げられたものだ。
水を制する人・ドデューには、うっかり挙がった水しぶきというのはないといっていい。

といいつつ、今日ほんとにぞくっと鳥肌が立ったのは男子フィギュア。
高橋大輔チェコの新鋭トマシュ・ヴェルネルのフリー・プログラムだ。
伸び盛りのヴェルネルが予定外の4回転トウループ2回にトリプルアクセルで攻めまくったのは壮快だった。
高橋もまたしても力を出し切り、オーラのある演技(技術点で86,52をマーク。総合237、95)で初の銀メダル。
昨日のショートでは2位になったジェフリー・バトルのストレートライン・ステップシークエンスが秀逸で、これは今日、3位につけていた高橋とバトルのステップ・バトルになると思ったものだが、バトルは今日は一転調子が出ずバトルにならずに(くどい)残念。
それにしても男子は(男子も)今実力者揃いで混戦状態である。
優勝したブライアン・ジュベールはまあソツがないという印象で感動はないけれど、昨日は失敗したステファン・ランビエールの「フラメンコ」には成熟と色気を感じた。
織田信成は今日は一転調子がよく、レベルの高い争いでよく健闘したと思う。
ただし、新プログラムの「ミッション・インポッシブル」はジュベールの007のムードを真似た感じで、織田くんの華奢で膝がやわらかくエレガントな持ち味にはいまいち馴染んでいなかった。
そのうち馴染んでいくのかもしれないが。

現実生活のシンポジウムでは韓国の詩人・高銀の話が印象的だった。
東アジアの知の多元的で緩やかなつながり(多元的一元って奇妙な訳が書いてあったけど)を目指すという内容。
(東アジアのアンティヤニテみたいなものかな?)
政治犯としての投獄、出家など壮絶な体験をしているはずの人なのに、サラリーマンみたいな見かけなところが渋い。
同時通訳の音声トラブルで議論が中断してしまったのは残念だった。
会場で吉増剛造との共著『日韓詩人の対話「アジア」の渚で』を思わず買う。
今時間がないけど、そのうちゆっくり読みたい。

やはり毎日、心が多方面に乱れている。
拝啓、父上様』が最終回だったのもちょっとキュンとした。