ゴムの木のビル

昨日は書きものをしながら空を見ていたら、黒い雲がすごい勢いで広がっていくので早く買い物に出なきゃまずいと焦りつつ、目を奪われてずるずると窓辺に張りついてしまう。
ようやく外に出たら強風だけで「よかったまだ降ってない」と思ったけれど、風のなかには微細な雨粒が混じっており、その感じが風の強い海辺を歩いているのに似ていてなかなかよかった。
昨日も今日も仕事の待ち受けモード。
もうマクシマンの「火」の章だけじゃなくて「地」の章まで読み終わってしまったよ。
「火」では噴火と大火事、「地」では大地震…。
大風の日に読むにはふさわしい。
子どもたちにとって天災っていうのは楽しいばかりなんだな(誰も死なないし、ケガもしないかぎりにおいては)。
噴火の後、妹のお人形の葬式をするのだ。
人形をお風呂に入れ、白い服を着せて、長い髪をざっくりと切る。
棺おけ代わりの箱に入れて、お経を唱え、女の子たちは泣き女を演じる。で、棺おけを降り積もった灰のなかに埋める。
この緊急時に両親が誰かひとり子どもを捨てなきゃならないとしたら誰かという話になり、当然末っ子だろうとかいって勝手にみんな赤ちゃんを捨てることに決めてたりするのも面白い。
地震のとき、揺れにあわせて、お兄ちゃんがダンスっぽい感じでハーモニカを吹きまくるのもいい。
私も子どもの頃、台風で大水が出たときは楽しかった。
何の被害もなかったが、荒川の土手沿いに住んでいる子がボートで学校に来たのがうらやましかった。

家の近所だけどなぜか普段は通らない道があって、たまたま今日そこを通ったら、上からゴムの木の枝がばさばさ落ちてきた。
よくある感じの5階建てぐらいのオフィスビルなんだけど、入り口付近に植えられたゴムの木が5階に届くほどにはびこっていて、建物の正面と螺旋階段をほとんど覆い尽くしているのである。
たぶん昨日の大風であちこち折れたかなんかして、上のほうでオジさんが枝を切り落としていたのだった。
うちのはせいぜい私の首のところぐらい。このくらいガツンと伸びてほしい。