マクシマン、ギレム、ボードリヤール

ダニエル・マクシマン、来日ドタキャン。
楽しみにしていたのでがっかりだ。
他にやることもあると、せっかくこういう機会がモチベーションとなり読書を進められるのに頓挫してしまったりする。
ちゃんと全部読みましょう。
そういえばマルチーヌ・マクシマンという女優・演出家がいる。
コンデの『心は泣いたり笑ったり』Le coeur à rire et à pleurerを演劇作品にして何度も上演している人だが、ダニエルの10歳下の妹だそうだ。

もうひとつ、ささやかな発見だが、教育テレビで毎週やっているバレエ・レッスン番組のなかで講師のマニュエル・ルグリが「シルヴィ・ギレムが…」とはっきり発音していてびっくり。
もちろんシルヴィ・ギエムのこと。綴りはGuillemだったっけ?
実はこれまでにも、浅田彰だけがあえて「ギレム」と表記しているのに気づいていたけど、それは考えすぎのあまり間違っているのであって、ここまで誰もが「ギエム」といってるのだから「ギエム」に決まっていると私は思っていた。
同じパリ・オペラ座出身のルグリがいうんだから間違いない。
さすが浅田先生、厳密だ。
来春のギレムの『白鳥の湖』はぜひ観たい。
90年代初めに全幕で観たが、同時代に生きていたら観ておくべきだと思う。
ふつう誰もがこの作品にもつ「女こども」みたいなイメージが絶対裏切られるよ。
ギエムが踊ってもっともすばらしいのは、フォーサイスのIn the middle somewhat elevatedと『白鳥』である。

ボードリヤールが亡くなった。
あまり興味の中心ではなかったので、2冊ぐらい読んだもののよい読者ではなかったけれど、私はボードリヤールの家に電話をしたことがある。
仕事をしていた頃、上司に用件を伝えるよう言いつけられたのだ。
ものすごーく緊張して国際電話をかけたら、留守録で不在を告げる本人の声が。
心底ほっとして、そそくさと用件を吹き込んで終わり。
緊張したときの情景などは、昔のことでもわりと鮮やかに覚えているものだ。