フィギュア・グランプリ・ファイナル(フリー)

日本勢は全員、ノロウイルスかインフルエンザにやられてしまったのではないか。
失敗というよりは、誰も力を出せなかったという感じ。
特に吐き気を押して演技した高橋大輔は痛々しかった。
そんな中、よくも4回転トーループトリプルアクセルを着氷させたもんだ。
やはりお腹が痛かったという安藤美姫はジャンプのタイミングがまるで合わないし、スピードがなかった。
浅田真央ちゃんも「チャルダッシュ」の音楽にふさわしくない、勢いのない演技。
実は朝ブラウザを立ち上げたとたん、「ああ真央、まさかの転倒」という見出しが目に飛び込んできて、事態を知ってしまっていた。
ひどいじゃないか。放映前なんだから、こういう見出しは「ああ真央、まさかの…」ぐらいに思わせぶりにしとくべきだろう。
それでもまさかトリプルアクセルだけでなく、ルッツでまで転び、コンビネーションも抜けるとまで思わなかった。
「私だったら二つ目のダブルアクセルをトリプルにしちゃいますね」とコメントする伊藤みどりはさすがだ。
ゆとり世代の真央ちゃんは、そこまでの根性は見せてくれない。
今日一番よかったのはキム・ヨナ
「あげひばり」の緩やかな音楽にぴったりの、滑らかで気品ある演技だった。
三連続コンビネーション、イナバウアーからのダブルアクセルのみならず、他の人では見たことのないキャメル・スピンの変わったヴァリエーションや情感あふれるステップ部分が美しい。
ショートの「ムーラン・ルージュ」の音楽とそれに合わせた衣装はあまり好きではないんだけれど、このフリーの衣装はとても似合っていて素敵だ。
パウダーブルーのノースリーブで、胸元と肩紐にブルーのスパンコール。スカートの後ろのセンターだけ白なのが洗練されていて、氷に映える。
村主章枝は上位争いに絡めなかったけれど、人の声を歌ではなく音として使った今日の「魂の歌」にしろ、昨日の「ボレロ」にしろ、ジョアン・ジルベルトにしろ、音楽や振り付けの選択に意識的で、フィギュアの演技構成をより芸術的にレヴェルの高いものにしようとしているのがわかる。
ただ技術的には限界が見えるし(いつもルッツとフリップばかりで、今日も単独のトーループサルコーは失敗。体も硬い)、どちらかというとアマの競技選手としてよりは、プロ・スケーターとしてやったほうがいいんじゃないか。
それから昨日の「ボレロ」の振り付け、ところどころベジャールの「ボレロ」のパクリっぽく見えてしまうんだけど(イサドラ・ダンカン風というか相撲の四股風に両脚をがっと開くところとか)。