同じ星の人、アボカドの贈り物

待っていたエレヴェーターの扉ががーっと開いたら、中からあの批評家が。
「私たち、同じ星の下に生まれたってことなんですね」と後姿に向かって心の声を呟く。
この批評家とまったく同じ日に誕生したという秘密を後輩に打ち明けたら、「ああ、そういえば性格ちょっと似てますよね」と軽くいわれた。
「いや僕だって似たとこあるし」とあわててフォローしてたけど時遅く、私があまりにしょんぼりしたため、後輩ひどく反省、ということもあったっけ。
何だかほんとの冬らしくなってきた。
プランターに生えてきた謎の植物(身長20センチ)を鉢に植え替えてやろうと思い、掘り返していて土の中のおっきな種に気づいた。
そうだ、これ、前に食べ終わったアボカドの種を埋めておいたもの。
まったく忘れてたけど、何だかうれしい。
アボカドならますます寒い冬に出しっぱなしじゃかわいそうと思い、掘り返しつづけるも、異様に頑丈な根がプランター底に張りついていて取れなかった。
大学のイチョウは今なおピークで、ガラス窓の向こうが一面こがね色、そのさなかでキジバトが遊んでいるのに目を奪われ、授業がお留守になってしまう。
黄色の葉が全部散って、並木道の遠景が厳しい逆二等辺三角形になるのも好きだ。