メキシコ・ドキュメンタリー映画祭(再)

後輩を伴って『ムーシェ:アタシたちの楽園を求めて』を鑑賞。
やっと見てよかったと思える一本に出会えた。
女丈夫で有名なサポテカ族が住む町のムーシェ(ゲイ)たち。
刺繍が豪華な伝統衣装でお洒落してるのがかわいい。
胴衣は黒地にグリーンの木の葉、あるいは紺地に黄のマリーゴールド
オーガンジーのスカートにオアハカ・レースの裾飾り。
ごつい体で満足気に着飾っている「彼女たち」に業を煮やして、
本物の女丈夫がかんかんに怒っているのがおかしい。
曰く、女に華をもたせるべき祭りにちゃらちゃら下品な女装で現れるなと。
ほんとの女はもっと地道で知的だと。
あんなに上に張り出させたニセモノの胸は胸じゃなくて扁桃腺だと。
「彼女たち」は母親から教わって刺繍の技術を習得したり、
自分でドレスを縫い上げたり、あるいは地元料理の名人であったり、
細かなきれいなものを作ることには目がないようだ。
私もちまちました手芸好きだから、カラフルな端切れで「貧乏人のベルサーチ」帽を
作ってみたり、人形のドレスをこしらえたくなる気持ちは共感できる。
(今どき、女っぽいというよりは、ゲイっぽいかも)
ましてやこんな豪華な刺繍が溢れ、和紙みたいに繊細なプリーツ・レースが
溢れている土地ならなおさらのこと。
ムーシェたちの衣装の思案に一緒になって参加したい。
鮮やかな刺繍の花が目に焼きつく。
私の知ってるカリブにもちょっと似ているオアハカの風景はローズピンクのイメージ。
今さらながら、男らしさと女らしさがあまりにくっきり分かれている人たちだなあ。
それゆえゲイの女らしさといったら尋常でない。
日本人なんて全員ユニセックスジェンダーフリーって感じだ。
エイズ撲滅」運動の出し物として、
コンドームを掲げ持って踊るムーシェの『白鳥の湖』には失笑。