仮眠をうまく取れず、女子フィギュア・ショート・プログラムのため完徹。研究会での発表準備との並行で死にそうにきついが、今日のところはまず納得のいく結果だった。
荒川静香村主章枝もほぼノーミスで、確実に課題をこなす。新採点法でどうなることかと思っていたが、やはり村主のような表現で見せる選手には厳しい、というか点が伸びにくい仕組みのようだ。完成度としては、NHK杯のときと同等のすばらしい仕上がり。だが柔軟性が高く、スパイラル・シークエンスがとりわけ美しい荒川に比べ、ジャンプ、ステップ、スピンとどれも確実だが、やや体が硬くてビールマン・スピンができず、抜きん出た技のない村主はあまり高得点が稼げなかった。同じ4位でも、わたしは63点ぐらいは欲しいと思っていた。フリーでの追い上げを期待したい。
荒川は緊張しているのは伝わってきたが、やはりプロの貫禄で、手脚の長さが映えるダイナミックな演技だった。
だが佐藤夕香さんが身びいきでいっていたのと違って、今日はスルツカヤよりよかったとまでは思えない。風格と安定感ではやはりスルツカヤが一段上だと感じた。ただ、スルツカヤは特に個性が光る演技ではない。フリーでは荒川には、大得意のイナバウアーなど、あのしなやかな長身で作る美しい曲線のバリエーションを堪能させてほしい。
サーシャ・コーエンは、ソルトレイクシティ五輪の頃のような不安定さがなくなって、何かすごかった。顔とかもアクが出てきて、ちょっと恐い。もとよりアクロバティック系で、優等生的で十代なのにおばさん臭かったサラ・ヒューズなんかより応援していた選手である。
ジャンプは以前と同じく、速いけど低い。でもめちゃくちゃ柔軟性があり、ステップもかっこいい。同じ66点台で、コーエン、スルツカヤ、荒川と接近していたが、やはりコーエンが一番上だと思った。フリーでは、コーエン、荒川、スルツカヤとなってもおかしくない気がする。
安藤美姫は予想通りだった。ここのところだいぶ体重がしぼれたようで、直前の練習ではかなりジャンプに切れと確実さが戻っていたのに、本番では緊張からすべてが台無しになっていた。そもそもアスリートとしての知性、コントロール能力をまったく欠いている。「衣装だけは誰にも負けませーん」と事前に自慢していたコスチュームもいうほどよくない。というか、佐藤夕香さんもいっていた通り、スカート部分がひらひらしたワンピースなのに、両腕、タイツも含めてつま先まで黒ずくめなため、スパイラルなどで体のラインが全然きれいに映えず、失敗である。誰がデザインしたのか知らないが、こういう特別な用途の服の場合、その競技のことを知らないとちゃんと作れないのだなと思った。