カザフから来た少年

高橋大輔ショート・プログラムは期待通りのすばらしいものだったが、その直前出ていたデニス・テンという若い選手を不勉強にも知らず、大選手のグループに運悪く紛れ込んだアジア(妙に日本人顔をした)の弱小選手と見くびっていた。
何なのだ、ジュニア上がりにして周りを惹きつけるこの技術と圧倒的な音楽性は。
高橋ともども、アジア人はリズム感が悪いなどといったい誰が言った?

デニス・テンカザフスタンの高麗人の家庭に生まれた16歳。
コーチは浅田真央と同じくタラソワだそうだ。

エフゲニー・プルシェンコのふてぶてしいまでの強さはどこか好ましい。
復帰、そしてこれでもかという4回転へのこだわりは、スケーティングの美しさばかり重視するジャッジへの異議の意味もあるようだ。
それに比べて、チャレンジのないエヴァン・ライサチェクのソツのなさというのは毎度どうも退屈である。
今日も会心の出来だったようだけれど、この人の演技の途中には、私はついトイレに行ってしまう。
強さと危なげを併せ持つブライアン・ジュベールはつねにうまく行ってほしいと願っているが、今回は絶望的。
オリンピックのような舞台では、往々にしてライサチェクのような選手がトップになりがちだ。

高橋はテクニック・エレメンツ48,90、コンポーネント・エレメンツ41,35、減点ゼロの自己最高90,25点。