Jacques Sarasin, On the Rumba River(2007)

2008年に亡くなったルンバ・コンゴレーズの父、ウェンド・コロソイ(パパ・ウェンド)を中心に、その仲間たちとの音楽に焦点をあてた映画。
世界の隅々にはいい音楽が溢れているし、いい映画の題材が溢れているものだと思う。

アフリカでは音楽家はしばしば時の権力者の栄光を歌わねばならず、ルムンバの友人でもあった50年代のスター、ウェンドはモブツが実権を握った後、音楽家を引退していた。
映画はモブツの死後、晩年を迎えたウェンドが若手たちとともに音楽を再開する姿を撮る。

キューバのルンバとコンゴのルンバがかなり違うものであると知る。
後から生まれた(キューバのルンバが大西洋を渡り、アフリカに「戻った」)コンゴのほうがむしろ西洋的な要素をもつ。
「リケンベ」と呼ばれる親指ピアノの素朴な響きがいい。
何の素材でどうやって作るんだろう?(土台は木として弦は鉄製?)

耳に残るクラーベ(拍子木)のリズム(きん・きん・きん・きんきん)。
プレゼントでもらって15年ぐらい使っている木製書見台の本体に台座の部分を打ちつけるといい感じに再現できる。

しかしいったいどこからこんなツウな映像を探してくるのだ。
スイス人サラザン監督の作品で、DVDで入手できるのは英語版のこれだけ。
他にマリの音楽家、Boubacar Traoreを扱ったJe chanterai pour toiという作品がある。

それにしても、この映画もそうだがコンゴキンシャサコンゴ民主共和国)の話題はよく聞くものの、コンゴブラザヴィルの話題というのはあまり聞かない。
いったいどんな国なんだろう。