ハーンと八雲

私は群れだ!――――ラフカディオ・ハーン
鴻巣友季子さんによる宇野邦一先生の新刊『ハーンと八雲』の書評より)

「私は群れ」とは、「現在のあらゆる生は、過去の無数の生の記憶を自分の中に含む」という意味だという。
群れになるな、独りであれ!の言葉とセットで、肝に銘じておきたいと思う。

ラフカディオ・ハーンといえば、特に積極的に近づいたこともないのに、子供の頃から現在にいたるまでなぜか縁ある作家である。

小学生の時分は、田舎の地元作家でうちの墓ともゆかりなのになぜだかガイジン、という認識だった。
もう少し大きくなり、教科書に出てきたので、全国的に有名な人なのだと知る。
さらに大きくなって、世界でもそれなりに有名らしいと知る。
そしていつの間にやら、たいがいのものは読んでいる。
ニューオーリンズの居住地跡にもマルチニックのサン・ピエにも、別にハーンを目当てになどしていないのに、訪れたことがある。

将来、ハーンが(脇役ながら)出てくる論文を書くことがあるなど、子供時代の自分にはまるで想像もつかなかった。