巨大蜘蛛、荒天にて停止

フランス・ナントの巨大機械制作集団ラ・マシンの蜘蛛を見たいと思い、雨の中「横浜開国博Y150」へ。
雨でもたぶんショーは決行でしょうとスタッフがいうので時間まで何十分も蜘蛛のそばに張りついていたが、雨はどんどん強くなり、結局ショーは中止となる。
私は巨大蜘蛛が動き回り、シューシュー水を吹き出し、四肢(八肢)を縦横無尽に振り上げるところを見たくて、そのためだけに入場料を払い、スタッフにもつめ寄ったのに勝手に中止、当日券の払い戻しも再入場の措置もなし。
ラ・マシンの他は、チョンマゲ姿の張りぼてを並べて横浜開港の説明をしたコーナーだの、等身大のイチローエネオス石油について語るコーナーだの、博覧会とは名ばかりのまるでスカのような企画ばかりである。

入場料をドブに捨てたので、今日の仕事ひとコマ分の1/3以上をただ働きした計算だ。
朝はJRの事故に巻き込まれるし、連休明けからついていない。
アルプス一万尺、俺はひと月三万弱(『非常勤ブルース』より)。

パンツ(ズボン)をずぶぬれにして怒り心頭のまま渋谷に出ると、雨はすっかり止んでいる。
次のショーが始まろうかという時刻、家の最寄駅に着いたら、もう道路すら濡れていなかった。
いや、でも横浜は今も暴風雨のはず。そうであることを願う。

「子供の頃、世界は何もかも巨大で、発見の連続だったでしょう? そういう視界を再現するために、私たちは巨大な機械を作って町に出るんです」
…というようなことをラ・マシンの製作者が語っていて、とても興味をもったのだ。
小さかった頃、本当に世界は巨大だった。
私はとても臆病で怖がりな子供だったので(今でも)、あらゆるものが大きすぎて怖くてたまらず、同時に発見に満ちていた。
恐怖だけれども愛おしいことこの上ない感覚だったと思う。