[政治][カリブ][フランス]グアドループ、ストライキの背景

カリブ海のフランス海外県(グアドループ、マルチニック)は、一般的に想像されるイメージと異なり、本国パリ並み、あるいはそれ以上に物価が高い。
理由は島独自の生産体制をもたず、食品だけでなく多くの生活必需品を本国から輸入しているためである。
その一方で失業者は多く、失業率は恒常的に30パーセントを超えている。
各メディアの記事を読むと、今回の物価上昇は石油および石油製品の価格高騰に一因があるようだ。
島の石油の備蓄と精製はSARA(アンティーユ石油精製株式会社)という会社が一手に握っていて、この会社が石油価格の不適切なつり上げを行ったらしい。
(備蓄場所の申告とタックスの関係とか、その辺のシステムがあまりよくわからないのだが)
さらに、1989年以来見直されてこなかった、本国からグアドループ向けの高額に設定された流通コストも問題になっている。

先週後半から、ストライキとデモはマルチニック、南米のフランス海外県ギュイアンヌ(ギアナ)にも飛び火した。

ところで今回の問題にかんして政府批判をおこなったリリアン・テュラムの政界入りが取り沙汰されている。
昨年、心臓病の持病が見つかり現役引退したテュラムは、年末にサルコジ大統領から入閣を打診され、一方、中道政党・民主運動(MoDem)党首フランソワ・バイルーにも出馬を要請されたが、いずれも辞退している。
だが、彼のインタビュー記事など読んでいると、また過去の政治的発言からしても、これは時期をはかっているだけで、近々政治家になるんだろうなというのが感想だ。
エメ・セゼールやクリスチアーヌ・トビラ、リュセット・ミショー=シュヴリら地元選出議員と違って、いわば「芸能人」の政界入りであるにしろ、アンティーユ出身者としては、たぶんもっとも重要なポストに就くことになるのではないだろうか…