炊き出し

寝ているより歩いたほうが調子があがるという経験はしばしばあるので、本を返しがてら大学のふた駅前まで歩いてみる(といっても大学まで3駅なんだけど)。
途中の瀬戸物市で江戸切子の小さなグラス(2650円が800円)を見つけたり、正月ムードがようやく抜けた通りの空気はすっきりしていて、メンタル的には確かにかなり上向いたが、坂を下るほどに具合は下り坂に。
ああもうだめ…とくずおれうずくまっていた大学近くのスターバックスで隣の若い男女(経済系の院に進む4年生と3年生の先輩後輩関係)がしていた会話。

―年末、日比谷公園の炊き出し、行こうと思ってたんだよね。
―あっ、僕もですよ。
―年末ってどうせ暇だしさー、日比谷までなら定期あるし。ああいうの配るの、私けっこう好きなんだ。
―えっ、そっち側なんですか。僕は食べに行こうと…
―何いってんの。配る方だよ。いい社会科見学だと思うんだよね。こういう見学、しといたほうがいいよー。

「オマエなーっ」と私は思わず立ち上がり、その小娘の襟首をつかんで……などというエネルギーは全然なく、どうしよう力尽きちゃって地下鉄に乗って家まで帰ることもできないかも、と思いながらひたすらうずくまっていたのだが。
何なんだろう「社会科見学」って、その恐ろしいまでの他人事・無神経な発言。
呆れるが、こういう態度を別の機会に見たことがないわけではない。
いや、でも、もしかしたら自分だっていつしてないともかぎらないな。
むずかしい…
距離の取り方がほんとにむずかしい。
とはいえだからといって「社会科見学」ってことはないだろう、この勉強のできる大馬鹿者が。

それにしても3年生の後輩男子のボケぶりはどういうことだ。
きみのボケ過ぎた発言が座布団1枚ということで許すとしよう。