最近読んだ本

昼から午後いっぱい作業をしていると、夕刻には目が潰れてくる。
嵌め殺しの窓の向こう全面を占める有名な池をぼんやり眺めて目を休める。
何かの文字を表していると文豪の小説には書いてあるが、ここから見えるのは鬱蒼とした木立の隙間のただ水面だけ。
今の時期は波紋ができて濃い色で。
ブーンという空調の音がいつも一緒で。
これが夏には水面から木立まで青緑色のグラデーションで、停滞してまどろんでいるような、ガラスを通して腐った水の匂いがしてくるような、夢幻的な感じがする。
動いているのはとても太った猫たちだけ(オレンジ色とホルスタイン柄)、それも大方昼寝中だ。

何だか最近定位置めいてきた、この場所。

一昨日はやはり目を休めるため、プレゼント用に買ったアーノルド・ローベルの絵本『ふたりはともだち』。
別の日には蜂飼耳の『転身』。
あまり疲れていると音楽が聴けない質なのだ。
ローベルのかえるくんとがまくんの絵本は、鳥獣戯画的な絵だけは昔から知っていて好きだったけれど、お話が感動的。
がまくんがかえるくんに拾ったボタンを全部縫いつけた素敵な上着をあげるところとか、手紙の来ないがまくんのためにかえるくんが手紙を書き、それを二人して待つところ、カタツムリに郵便配達を頼んだために4日間も座って待ち続けるところがいい。