クレマン・ジャヌカン

とても久しぶりにクレマン・ジャヌカンシャンソンを聴いている。
学期直前になるとフランス語の歌を聴き出すなんて不純かも。
でも秋になってそろそろそういう気分だし、もっと現代に近いフォーレなんかもそうだけれど、合唱曲の小品って好きなのだ。

ジャヌカンは16世紀の聖職者・音楽家で世俗シャンソンをたくさん残した。
歌詞が楽しいというべきか、曲が楽しいというべきか、詩の内容はかぎりなくナンセンスに近く、もともと意味ある単語を並べ、歌声の出し方の力も借りて勝手にオノマトペにしてしまうのが何とも楽しい。
たとえばこんな感じ。

frian frian frian
coqui coqui si ti si ti
huit huit qui lara
coqu coqu coqu

これは「鳥の歌」で、huit huit(8)もcoqu coqu(寝取られ男)も鳥の声。
「うぐいすの歌」のfuyez fuyezとかsuyvez suyvez, merci merciなんかも面白い。
「女のおしゃべり」の、女たちがぺちゃくちゃ言ってる感じを音(声)で表した歌詞、でも同時にめちゃくちゃな内容の歌詞も好きだ。

Si j'ay parlé, ou caqueté
Du caquet que je veux caqueter
Faut-il qu'on en tienne caquet
La, la, langue friette
Badin, badault, badine
Finette, fine mine
Baveuse qui bavarde
おしゃべりをしゃべるのはしゃべりたいからだけど
だまらなくちゃいけないの
ララ、舌のフライ
ふざけ屋、阿呆にお調子者
上品ぶりにおすまし屋
しゃべりまくるヨダレ女

たぶん何語であれできるんだろうが、これを16世紀に混声の合唱曲に作ってみたというジャヌカンの試みは面白く、今聴いても新鮮だ。