革命的衝羽根朝顔、咲く

夏中、蔓を伸ばし、緑の葉だけを茂らせていた革命的衝羽根朝顔ペチュニア)が、ついに濃いピンクの花をつけているのを目撃する。
実は旅行から帰ってみると、その間7、8個の花が咲いてしぼんだ形跡があったのだ。

「大事にしているサボテンの花が咲きそうだから」と魅力的な旅行計画のキャンセルを申し出る、シドニー・ガブリエル・コレットのお母さんが書いた手紙を思い出す。
楽しいことが約束された遠出よりも、その時その瞬間にしか訪れない開花をみつめることを選択するという毅然としたその態度。
身近な生命の営為を繊細な感受性で受けとめるというのは世界に対する好奇心のあり方としてすばらしいと思うし、個人の洗練された「美学」なるものを感じるけれど、やっぱり私は知らない土地に行くことの単純な喜びのほうを優先させてしまう人間だ。
とりあえず行けるときは、行けるうちは。
いずれにしても、植物というのは受身の不動であるかに見えて、日々刻々と姿を変えてゆく。
朝方咲いたこの花も、昼過ぎにはもうしぼんだ。

はー、毎日、そろそろ勉強始めないとと重い腰を上げ始めると、町内では小学生に下校をうながす放送が流れ出す。
事務作業のこの多さは、新しい季節に入ったことを意味してるんだろう。
新学期まであと二週間。
十五夜で満月だったはずだけど、ここのところ雲が多くて月を見ていない。

ジョージア・オキーフ風に。