La dernière île avant Taïwan

訪ねる場所を告げると、横から友人がこんなふうに解説してくれた。
こういう表現、ノラーの日本語脳ではすっと口から出てこないんだ。

英語でもあるけれど、日本語にはない感覚だと思う。
ある現実の地理を想定しつつ、それを時間軸に置き換えてみる。
地形に沿って、鳥なり人間なり電車なり飛行機なりが移動しているイメージなのか。
たとえばこれがバスに乗っているとかいう状況なら(「ターミナル車庫より前にある最後のバス停)、いくぶんピンときやすいけど。

そうはいっても国土と国土の境界をめぐってのこの表現、よく考えたら意味深でもある。
たとえば同じ国土を逆に進んだ辺境の島だとしても、やっぱりそこは「最後の島」La dernière îleということになる。
そしてそのすぐ隣は、別の国土の「最後の」島であり町なわけだ。

しんがり」というよりは「おみそ」「びりっけつ」の意味合い強いこのdernier/dernièreだが、実はこちらのお隣さん、はたまたあちらのお隣さんと気軽に交流している開かれた場所でもある。

もっとも古く記述として現れるのが、済州島の漁民が朝鮮語で記した書物だということ、琉球王朝からの支配、続いて日本からの、アメリカからの支配、その裏でしたたかに続けられた台湾や香港との交易、方言の中に認められるフィリピンやベトナム由来の語彙……などという事実を知るにつけ、そういう感を深めるのだった。