相づちの主、佐藤錦

地下にある図書館を出て上階に向おうとすると、上から話し声が聞こえる。
ゆっくりした女性の話し声と、「えっえっえっえっえっ」という急くような声。
一方の話にもう一方が相づちを打っているらしいけれど、相づちのスピードが早すぎて相手の話を先回ってしまっている。
こういう人、仕事の場などではたまに見かける。
たいていすごく多忙な人で、時間の進みというか密度というか、一般の人と違うのだ。
大学ではあまりいないタイプだけど。

地上にあがるとホールに会話の主が立っていて、相づちを打っていたのは超売れっ子のアメリカ文学翻訳者だった。
なるほど。
norahの見立てはなかなかいい。

今日もまた大学図書館
短時間でも篭もると能率が上がることがわかった。
達成感にひたりながら打ってもらう鍼。
なんて幸せな週の終わり。

近所にある安い八百屋で山形のさくらんぼを買って帰る。
同じ店で398円というすごい安値で買ったブランドものの「佐藤錦」が美味しかったので、「もう一回!」ということで買いに来たのだ。
今日は同じく「佐藤錦」が、少し多めのパックで450円。
「おとといの398円のと中身は同じですよね」とおじさんに確認する。
「おとといの美味しかったのと同じやつですよね」という意味で。
おじさんの答えは「違う」であった。
「おとといのやつは偽物。今日のは本物の佐藤錦だから味が違う」
そうだったのか!
しかしおじさん、自分でマジックで「佐藤錦」と書いておいて2日後に嘘だと告白していいのか?
しかも今日の本物の「佐藤錦」より、偽物のほうが美味しかった。