MoMAのマフラー、赤、ソル・フアナ

懐かしい気持ちで土佐堀川沿いをそぞろ歩いていたら、7年ぐらい前になくしたマフラーに出会って小さな驚き。
修論を出す直前は氷点下の土地にいたのだが、日々朦朧としていたため町なかでマフラーを三本も落とし、最後には巻くものがなくなった。
中でも惜しかったのが、MoMAのショップで見つけて気に入っていたアコーディオン・プリーツのこのマフラー(ストックホルムのデザイン・ハウスのもの)。
以来二度と同じものは見つからないと思っていたけど、こんなところに売ってるとは。
輸入品のわりに値段もあまり吊り上がっていず、うれしくなって購入する。

ミシェル・レリスの赤(仮面の赤、くすんだ赤など、さまざまな赤)についての話を聞けたのがよくて、なんだか赤いものが身につけたくなる。
そもそも私に一番似合う色といえば朱赤なのだ。
赤は冷たくて熱い色なのだそうだ。
赤を着よう。

昨日は緊張感がピークに達していた。
ぴりっとした空気のなか半ば色づいた木々を見ると感動するという回路がこの十年来あるけれど、これは副交感神経より交感神経に作用する気がする。
要するにほっこりするよりシャキンとして、よけいに緊張が高まる。

帰路、駅構内の本屋で買った文庫本、『知への賛歌――修道女フアナの手紙』を全部読む。
17世紀メキシコの詩人にして修道女ソル・フアナは、自分が学ぶと決めたことを期限までに習得できていないとき、自分の馬鹿さの罰として指4本分もしくは6本分長さの髪を切っていたそうだ。
私など今頃丸坊主だ。