講師控え室にて2

いろんな教科のたくさんの講師が出入りする「控え室」というのは興味深い空間だ。
私が最近もっとも多くの情報を得ているのもこの場所。
ヘブライ語の解説から韓国の情勢、果ては下着の買い方まで、実に豊かな知識を学べるのである。
逆にその場の顔ぶれによっては、遠慮したい空気が流れることもある。
「フランスではこうでね…」「ドイツではね」という感じに、それぞれが何だか自分の専門の国代表みたいなつもりになって、ガイドブックのコラムレベルのことを得々と話している時とか。
世界狭いなーーーと思う。
有用だったり楽しい情報との差は微妙なんだけど、要はその人の世界観が垣間見えちゃうというか。
いやなのは、世界が狭そうで、相手の興味や理解のための工夫なんか考えなさそうな人にかぎって、学生のことを馬鹿扱いしがちなこと。
これは聞いていてほんとに不愉快。
だいたい人よりちょっとは勉強ができるってことになってるから講師として雇われてるのに、プロ意識がなさすぎるよ。
まあ私は自分が昔サボっていたから、サボってる学生に対しても優しい気持ちでいられるだけであって、秀才でずっと来た先生方には耐えがたいということもあるのかな。
それから研究のキャリアが自分と同じ程度の人たちと、お互いの論文などのことを語り合ったりするのは刺激になる。
もちろん私よりだいぶ若い講師たち。
そういう人たちのほうが、授業についても工夫している。
時間をかけているかということより、学生とのコミュニケーションの方法とか、相手のレベルをどういう順序・過程でどこに求めるかとか、考えながらやってるように見える。
他の勤務校がはしかで休講になったら、先週はやることなーんにもなくなって困ったなどと言い合っている先生たちもいた。
冗談とは思うけど、他にやる仕事ないのか?
翻訳とか、何か書くとか。でもほんとに何もやってなさそう。 
そんな話が続く横で、人気言語の先生たちがチームを組み、毎回黙々と教材を作ってたりする光景は好ましい。