鍼の幸福

二度目の鍼治療で至福のとき
今日は右腕と背中に打ってもらうが、何かが内側から目覚めてくるような、積極的な気持ちよさで、とろけて眠りそうな感じとエネルギーが高まる感じが拮抗していた。
それでもいくつか曖昧な夢を見る。
頚椎と背中、両腕全体に鍼を刺したまま暮らすサボテン人間となる幸福を夢想する。
髪はショートボブの刈り上げ、セクシーなベアバックに首から背中一面鍼だらけという小説の人物を思いついたが、こんなすごいアイディアを披露しちゃうと誰かに盗まれるかもしれないな。

しかしこれほど気持ちいいながら、後で腕を動かしてみると痛みはあまり取れていなくて、電流を流す追加治療もやってもらう。
何列もダイヤルがついた機械から七色のコードが垂れていて、そこからは2ヘルツ弱の電流が出るのだ。
「より効果はありますが、今日明日ぐらい一時的にだるさは強まります」とのこと。
この数日で詰めて原稿を書かなきゃならないから緊急に痛みを取るために来たのであって、だるくなっては困るんだけど、好奇心には勝てなかった。
腕のもっとも痛いところに直径2.0ミリの太めの鍼を2本刺し(普通の鍼は0.14ミリ)、そこに電極をつなぐのである。
トントンという機械音がやがて腕に伝わり、皮膚の表面がぴくぴく揺れる。
あ、何だか心臓が…!
友人が鍼治療で心臓が苦しくなったことを急に思い出して怖かったけれど、それほど大したことはなく平気であった。
だがそれでも痛みは残り、腕のつけ根にシール状の短い鍼を貼ってもらう。
これ、3,4日使えるんだって。こんなものの存在を初めて知り、驚いた。

やはり治療後昏睡してしまい、読書会を寝過ごす。
言われた通りだるさが強く、昨夜はつらくて泣きながらパソコンを打つ。
箸しか持てないこんな非力なときにかぎって、仕事のダンボールとかビニールテープでぐるぐる巻きの荷物とかが届く巡りあわせになっている。