京都散策

二十年前から行きたいと思っていたアスタルテ書房にやっと行く。
二十年間行きたいと思っていたわけじゃなく、ずっと忘れていたのだけど、魔女裁判のことを調べていたら、古代フェニキアの女神アスタルテの話が出てきたので二十年ぶりに突然思い出したのだ。
三条近く、御幸町にある幻想文学専門の書店です。
スリッパを履いて入る静かな店内で何やら作業中の店主とふたり、特に幻想文学ファンでもないのでちょっと気詰まりでしたが、京都ならではの不思議な店。
十五年ぐらい前から行きたかった貴船神社にも行く。
神武天皇を生む時には鮫だった母・玉依姫(つまり皇太子の先祖?)が淀川から黄色い船に乗って山上の上流までたどり着き、建てたのがこの神社。
水をまつる神様なので、水占というおみくじがあり、これが楽しい。
神水に白紙のおみくじを浸けるとあら不思議、文字が浮かび上がってくるのだった。
町中の洗練された神社と違い、古木が多く自然の豊かな山中にある不思議な神社だ。

先週ぐらいに知ったのだけど、それほど遠くもない親戚に烏丸の酒問屋がいたらしい。
竹屋町のテーラーもいたらしい。
三条堀川の煙草屋もいたらしい。
というか、今もいるらしい。
碁盤目を歩きながら、酒屋や酒を扱うコンビニを見かけるとつい表札を探してしまったりした。
自分と似たような顔の人が京都弁をしゃべりながら商売をやってると思うと不思議だ。
私自身はお店屋さんにあこがれながら、東京の身の回りで商売人は誰もいたことがない。
でも私は意外と京都弁はうまくて、京都人にセンスがあると褒められたことがある。
何代遡っても本州内の移動止まりで、もしかしたらありえた他の言語の可能性がせいぜい京都弁か出雲弁ていうのも何だか狭い話だけれど。

(写真は貴船神社奥宮のキュートな狛犬。二匹とも一重の椿をヘア飾りにしてもらってる)