プラットフォームの情景

上りの新幹線を待っていたら、なぜか警備がものものしい。
その時、東京からの列車がすーっと入ってきて、いったい誰が降りてくるのかと思ったら皇太子だった。
こっちに向かってニコニコ手を振るので、つい私も手を振り返してしまう。
だってこっちは長年の浩宮ファンなのですから。
言い訳するようだけど、天皇制とか皇室典範とか万世一系とか戦後民主主義とか右翼とか他の皇室メンバーとか、もう全然関係なく、何だかこの人がずっと好きなのだ。

行きの新幹線が着いた時、乳児を連れた若い夫婦とどちらかの父親という家族連れと一緒になった。
その夫が日本人男性としては並外れて美形なのだった。
服装はきわめて地味、胸には赤ちゃんを抱いて、帰省の家族連れにしか見えないのに、何だか容姿だけ際立っている。
その赤ちゃんがまた、乳児の分際で猿めいたところがまったくなく、寝ているくせに切れ長の目と口元がきりりとしていて美形確実だった。
この夫はいったいどんな職業に就いているのかいろいろ想像をめぐらせていたのだが、翌日旅先で百貨店に入ったら、化粧品売り場で有名メーキャップ・アーチストのショーをやっていて、その当人だった。
なるほどなぁ。
パフォーマンス中の当人をついマジマジと見てしまい、何度も目が合う。
たぶん向こうも、駅で会った人だと思ったのかもしれない。

やはりこの連休中、都内の駅で電車を待っていたら、向かいのプラットフォームで人が倒れていた。
30代ぐらいのスーツ姿の男性で、あたりの床は血にまみれている(たぶん鼻血)。
救急隊員が取り囲んでいるものの、意識はまったくなく、顔はどんどん青黒くなってゆくばかり。
あの人がその後意識を回復したのか、気になっている。