雷と火事

雷雨のなかの大学図書館
家にいながらの雷というのは大好きなのだが、雲がびしびし大音量で鳴る下を今にも自分に落ちるんじゃないかと心配しながら歩くのもまたスリリングだ。
大正なのか昭和なのかいつ建てられたのか知らないが、こんな日にやたら天井が高くて厳かな建物に篭もっていると、ゴシック・ノヴェルの主人公か何かの気持ちになってくる。
映画化されるとだいたい屋敷はこんな建物で、外は真っ暗、激しい雷と相場が決まっているような。
しかも積み上げてるのは魔女狩りの本ばかりだなんてね。
しかしこの図書館、赤絨緞の大階段を上ったところの踊り場で舞踏会でもできそうだ。

昨日は昨日で、桜色や水色が混じりあった夕方の空をきれいだなーと眺めながら早稲田に向かって歩いていたら、何だか空がバタバタうるさい。
見るとヘリコプターが4,5台も旋回していた。
ヘリコプターというと、どうしても9.11直後のアメリカを思い出す。
毎日毎日、頭のすぐ上ぐらいでバタバタと轟音がして、あの時は神経がおかしくなった。
軍用機はいわゆるヘリコプター型じゃなく、長方形なところが怖い気持ちをかき立てた。
迷彩色の箱フグ。

で、早稲田の空を飛び交っていたヘリコプターだけれど、何事かと思ったらオリンピック早稲田店から不審火による火事が出て、9時間も燃え続けていたからだった。
(教授の娘さんからのメールでそのことを知る)
同じ通りの並びに私たちがいつも行く四川料理屋があって、昨日もそこへ行ったのだが、夜まで道は通行止めだった。
通りは焦げ臭かった。
このオリンピックには時々カブトムシの土とか餌を買いに行っていたのに。

この界隈、最近やたらと火事が多い。
先月は神楽坂の真ん中で12棟も焼け、去年友達と行った店が全焼してしまう。
今、もとあった建物が燃え落ちて骨組みだけになって、劇の描き割りみたいだ。
先々月はテレビで「新宿区の写真館が全焼」などといって放映されていた店が、実は時々歩いている通りと後でわかった。
早稲田の文学部キャンパスで仕事があった途中にちょっと外に出たら、全焼した店の前にいたのだ。
何だか焦げた匂いばかり嗅いでる気がする。

今月から魔女大研究を始めている。
にわかに詰め込んだ知識で、早くも中世ヨーロッパの専門家気取り。
ラテン語も読めないくせに(いや、それすら時々語っている気が)。